2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川ノ上 帆 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (50467445)
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点解消 |
Research Abstract |
本課題ではイデアリスティック・フィルトレーション・プログラム(以下IFP)に沿って任意標数の代数閉体上の特異点解消について研究を行う。平成25年度も申請時の計画通り整閉包を用いるアルゴリズム及び微分閉包のみを用いるアルゴリズム双方について考察を継続した。申請時の計画では既に完備化レベルでの不変量の候補が概ね決定されておりそれをザリスキ局所的なレベルに降下する部分に注力する予定であったが、不変量の決定に関しては一般次元では未だ不満足な進展と言わざるを得ない。一方、懸案の降下に関しては案に相違して前年度までに解決をみた。そこで、当該年度は未解決である3次元多様体の埋め込み特異点解消について研究を進めることで一般次元の場合の不変量の候補を模索した。 IFPの基本戦略は、先頭生成系と呼ばれる非特異とは限らない超曲面を用いて標数零での特異点解消アルゴリズムを任意標数に拡張することである。微分閉包のみを用いるIFPのアルゴリズムにおいてはこのような不変量の候補は構成されており、単項型と呼ばれる場合を除いて任意次元で期待通りに機能する。しかし単項型の場合は不変量だけではうまい爆発の中心の選び方を指定することができず、補助的な不変量を追加する必要がある。曲面の埋め込み特異点解消の場合はこの補助的な不変量が得られており、これを拡張する形で3次元多様体の単項型で機能する補助的な不変量を構成するべく共同研究者の松木謙二教授と共同で議論を進めた。 当該年度はまた、投稿中である二つの論文の校正作業を進め、いずれも受理を得た。一つは曲面の埋め込み特異点解消に関するもので、上記の降下に関する議論はここに含められている。もう一つはIFPの入門的概説であるが、整閉包を用いるアルゴリズムにおける単項型非特異性原理という新しい成果も含められている。 以上が平成25年度の研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初当該年度の研究の主眼として予定していた不変量の完備化レベルからザリスキ局所レベルへの降下は確立したものの、その前段階の不変量の候補の構成について一般次元では十分な進展を得られなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の推進方策を踏襲し、微分飽和(相対微分飽和)のみを用いたアルゴリズムを用いた3次元多様体の埋め込み特異点解消について更に研究を進める。一方で整閉包を用いたアルゴリズムを用いた任意次元での特異点解消についても改めて見直す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度コンピューターを購入する予定であったが諸般の事情で来年度に繰り越した。 コンピューターの購入。
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