2013 Fiscal Year Annual Research Report
重さ半整数ジーゲル保型形式におけるリフティングの研究
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23740018
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
林田 秀一 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80597766)
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Keywords | 保型形式 / Fourier-Jacobi 展開 / Maass 関係式 / Ikeda lift / Ikeda-Miyawaki lift / Zharkovskaya の定理 |
Research Abstract |
本年度においては、本研究で目標としていたリフティングの一般化を証明した。即ち、二つの楕円保型形式から次数2の重さ半整数のジーゲル保型形式へのリフティング、が従来得られていたリフティングであったが、これを一般偶数次数の重さ半整数のジーゲル保型形式へのリフティングとして拡張した。尚、構成したリフトが消えないかどうかという問題は依然残っているが、消えないという計算例はいくつかある。 また、上記の結果を得る為に、次の二つの結果も得ている。(1) ヤコビ形式でのプラス空間を導入し、その空間と行列指数のヤコビ形式との同型対応を証明した。 (2) ジーゲル作用素とヘッケ作用素の可換性に関する Zharkovskaya-Krieg の定理をヤコビ形式の場合に証明。ただし、ここでヘッケ作用素の代わりにヤコビ形式のインデックス-シフト写像を用いている。 二つの楕円保型形式から一般偶数次数の重さ半整数のジーゲル保型形式へのリフティングの証明においては、一般化マース関係式を得ることが鍵であった。この一般化マース関係式は更に様々な応用が考えられる。実際、この一般偶数次の重さ半整数ジーゲル保型形式における一般化マース関係式を用いて、Kohnen-Zagier が得ている重さ半整数保型形式のディリクレ級数の結果を、一部、ジーゲル保型形式の場合に拡張した。 近年、保型形式の研究においてリフト理論やエル関数の特殊値の研究は盛んに行われているが、重さ半整数の保型形式の Fourier-Jacobi 展開を用いることで、上記のリフトなどの知見を得たことに意義があった。(ただし、リフトの構成自体は池田リフトや Eichler-Zagier-伊吹山対応に依っている。)また、ラングランズやアーサーの予想の枠組みに入らないリフトを証明したという点において本研究は重要であった。本年度得た結果は現在論文として執筆中である。
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