2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740020
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
市原 由美子 奈良女子大学, 理学部, 准教授 (80372689)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 数論 |
Research Abstract |
重さ 2 の保型形式に付随する L 関数の関数等式の折り返しの点における零の位数は楕円曲線の有理点からなる群のランクと一致するという予想があり、重要な研究テーマである。それに関して解析的にアプローチすることを目的とし、以下の進展が得られた。 まず、レベルが一般の場合の old form の基底を明示的に求め、new form に限定して、それに付随する L 関数の関数等式の折り返しの点における零の位数を研究することを目標の一つとした。その為に一般の場合で new form とそれから派生する old form のノルムの差を明らかにすることが必要となり、双方の間の関係式を求めることができた。しかし、零の位数の問題に適用するためには更に Fourier 係数に関して新しい工夫が必要となることが判明し、次年度の課題の一つとして残ることになった。 全く別のアプローチとして Riemann zeta 関数の微分に関する研究を拡張し、保型 L 関数に適用するという研究もスタートさせた。これは準備として保型形式の Fourier 係数の部分和や Riesz 和に関する情報が必要となる。保型形式のレベルや重さに関する評価が必要となるが、その精密化に関する先行結果の充実を図るため、いくつかの既存の方法の性質や長所・短所を明確にすることができた。その情報を元に、次年度から研究を本格的に進めていく予定である。 更に解析的に様々な zeta 関数や L 関数の値分布の研究が進んでいるが、これを L 関数の零点の位数の問題に適用するための具体的な方法や道筋を議論することができた。次年度から検討を始めることができるだけの情報をまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は一般のレベルで old form の基底の構築を考え、non-vanishing に対する研究の見通しをつけることを目標としていたので、十分達成されていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究実施計画に沿う形で進めていくが、今年度の研究によって更に検討すべき課題が見つかっているので、まずはそちらに重点を置いて研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画で予定している内容に関して、または、今年度更に検討すべき課題として見つかった問題に関しての情報収集や議論のための出張費や、更に必要と認められた図書や計算機周辺の充実を図るために研究費を使用する。
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