2018 Fiscal Year Annual Research Report
The order of zeros of automorphic L -functions and the value of L-functions
Project/Area Number |
23740020
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
梅垣 由美子 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (80372689)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2019-03-31
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Keywords | 値分布 / 類数 |
Outline of Annual Research Achievements |
尖点形式、特にニューフォームに付随する保型 L 関数の関数等式の折り返し点における零点の位数や L 関数の特殊値を解析的に調べることを目的として研究を行ってきた。この研究で新しく導入された手法や考え方は保型 L 関数に限らず、様々な L 関数やその対数関数の値に応用することが考えられる。数論におけるあらゆる研究テーマとの関連が期待できるので、非常に興味深いと考えられる。 本研究では、値分布の手法を用いて保型 L 関数の対数関数の値の密度関数を調べることができた。この手法はリーマンのゼータ関数やディリクレの L 関数に対して既に導入されていた研究であるが、保型 L 関数に拡張する上では幾つかの困難がある。本研究において、既存の議論や手法を見直し・拡張することで、保型 L 関数へ適用を可能とし、いくつかの成果を得ることができた。また、特にレベルに関しての研究においては、リーマンのゼータ関数やディリクレの L 関数とは大きく違った状況があり、その困難を明確化し、佐藤・テイト測度との関連を探る研究という新たなステップを踏み出すことができた。 一方で L 関数の対数関数の特殊値の研究の応用にも取り組んだ。特にディリクレの L 関数の対数関数の特殊値の漸近式は類数の大きな代数体の研究に貢献がある。既知の漸近式の類似を考えることで、その応用として 4 次代数拡大の場合に類数が大きい体が無限個存在することを示した。9 次代数拡大の合成体について類数と単数基準の積が大きい体が無限個存在することを示し、この議論を一般化した。 これらの研究から、一般にオイラー積で定義される L 関数の対数関数の特殊値の漸近式について、特に誤差項の評価の改良の結果も得ることができた。
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