2012 Fiscal Year Annual Research Report
アイゼンシュタイン級数と関連するディリクレ級数の研究
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23740021
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水野 義紀 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (30546388)
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Keywords | ケッヒャー・マース級数 / モジュラー形式 / L関数の特殊値 / 逆定理 / 類数 |
Research Abstract |
(1)ヘッケ評価によるカスプ形式の特徴付けを行った。具体的には「モジュラー形式のフーリエ係数が適当な評価を満たせば、それは自動的にカスプ形式になる」というコーネンとマーチンの最近の結果に、ケッヒャー・マース級数の収束域・極の情報、今井の逆定理、高い重さの特異モジュラー形式の非存在などを用いて、見通しの良い自然な証明を与えた。一方、ベヘラーとダスが報告者と異なる手法で、レベル付き高次元化を行っていることが分かった。報告者は、その結果の応用として、レベル付き斉藤・黒川リフトのカスプ性を導いた。この種の結果のモジュラー形式への興味ある寄与と言える。九州大学におけるWorkshop on modular formsに於いて、成果発表を行った。 (2)非正則ヤコビ・アイゼンシュタイン級数の特殊化を正則射影して、いくつかのL関数を取り出す正則な核関数を構成した。L関数の特殊値の計算にあたっての利点として、考える空間の複雑さが回避できること、微分作用素が必要ないこと、の2点が挙げられる。応用として、ある種のランキン・セルバーグ畳み込みの特殊値の計算が可能である。例えば、2次対称L関数や2次指標捻りヘッケL関数2つの積といった場合に、上述の方針を実行した。正則射影するにあたって、解析的計算の正当化が必要になるが、上述の場合には完全に正当化できた。指数mのヤコビ・アイゼンシュタイン級数のフーリエ展開に関するアイヒラー・ザギエのコメントを、非正則も含めて一部確認したことにもなっている。他のランキン・セルバーグ畳み込みの場合にも有効であると感ぜられる。(一部は小浜隼氏との共同研究) (3)その他、査読付き論文3本が学術誌に掲載され、加えて1本が受理され、また(1)のプレプリントは査読報告に従って改訂中である。これら論文原稿の作成・再検討についても、かなりの力と時間を注いだ。
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Research Products
(7 results)