2011 Fiscal Year Research-status Report
頂点作用素代数のオービフォールド模型の有限性に関する研究
Project/Area Number |
23740022
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安部 利之 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (30380215)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 頂点作用素代数 / C_2有限性 / オービフォールド / 対称群 |
Research Abstract |
C_2 有限な頂点作用素代数のオービフォールド模型の C_2 有限性の証明に向けて,その一般的かつ具体的な例である置換オービフォールド模型について研究を行った.これは n 個の頂点作用素代数に自然に n 次置換群を作用させた時,その作用に関する固定点のなす頂点作用素代数である.研究目的の一つである C_2 有限な頂点作用素代数の置換オービフォールド模型が再び C_2 有限であるという予想の解決に向けて, 最初の場合の n=2 の時について考察した.この場合については,Virasoro 代数に付随した頂点作用素代数については既に研究代表者によって証明されていたが,今年度の研究によって, n=2 の場合には Virasoro 代数に付随したものだけでなく一般に C_2 有限な単純頂点作用素代数であれば,その置換オービフォールド模型もまた C_2 有限であることがわかった.この結果は現在 Communications in Mathematical Physics に投稿中である.この結果を用いて格子頂点作用素代数のZ_2-オービフォールド模型の C_2 有限性の別証明を与えることもできた.このように本研究結果を用いて,置換オービフォールドではないC_2 有限な頂点作用素代数のオービフォールド模型の C_2有限性の検証においても有効であることがわかった.また n>2 の場合に関しては現在も証明を考察中であるが,非常に限定的場合に,ある種の等式を発見した.その等式だけではまだまだ不十分であるが, n>2 の場合の置換オービフォールド模型の C_2-有限性の証明への最初の段階に進むことができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り n=2 の場合のC_2 有限な頂点作用素代数の置換オービフォールド模型が C_2 有限であることの証明が完成した.更に非常に複雑だった格子頂点作用素代数のZ_2 オービフォールド模型の C_2 有限性の証明にこの研究結果を用いて,初等的な別証明を与えることができた.この研究結果は当初の予定では考慮していなかった結果であり,最終目的である「オーフォールド模型のC_2 有限性」の証明に置換オービフォールド模型の研究結果が適用できる可能性がでてききた.
|
Strategy for Future Research Activity |
n>2 の場合に置換オービフォールド模型の C_2 有限性について考察し続ける.次は n=3 の場合であるが,現在の所,部分的な結果しか得られていないので,更に新しい構造や解明のきっかけが得られるよう研究を進めていく.また Virasoro 代数や格子頂点代数のような具体的に計算のできる模型に対しついても検証をすすめていく.C_2 有限性という性質だけでなく Zhu 代数と呼ばれる頂点作用素代数の表現論において非常に重要な結合代数の構造についても考察し,置換オービフォールド模型の既約加群の分類,ついては表現の構造の解明についても考察してく予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は8月に上海交通大学と9月に筑波大学において,国際研究集会が行われる予定であるので,その研究集会に出席し,本研究課題及び関連する研究成果について成果発表を行う予定である.その旅費及び滞在費に使用する.また筑波大学で行われる研究集会において,アメリカの研究者を招待し研究打ち合わせを行う予定であるので,その旅費及び滞在費に使用する予定である.また頂点作用素代数の表現論に関連する書籍及び文献の購入費にも使用する予定である.
|