2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740026
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 健 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (90362409)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 代数幾何学 / モジュライ |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はここ数年,代数曲面上のstrange duality現象に取り組んできた.これは大雑把に言うと,異なる代数的層のモジュライ空間上の直線束の大域切断の空間が双対であろう,という不思議な予想である. 一般的に言って,モジュライ空間上の直線束の大域切断の空間を調べるのは(たとえばその次元を計算するのですら)難しい問題である.これに対する一つの戦略は,そのモジュライ空間と双有理なより調べやすい射影多様体見つけることである.それを見つける一つの方法として,層の安定性を定める偏極を動かす,という方法がある.しかし,本研究で最も興味のある射影平面の場合にはピカール数が1であるため,偏極を動かす手法が使えなかった. 一方,strange dualityの話とは全く独立した話で,Arcara-Bertram-Coskun-Huizengaは,射影平面上の点のHilbertスキームと双有理同型な多様体としてBridgeland半安定な層の複体のモジュライを考え,Hilbertスキームの双有理幾何を調べた.同じ思想の下Coskun-Huizenga-Woolfは,射影平面上の層のモジュライ空間のeffective coneを完全に決定してしまった. 本研究の今年度の研究成果は,Coskun-Huizenga-Woolfの手法の応用として,「射影平面の場合,もしstrange dualityを考える層のモジュライの少なくとも一方がheight zeroならstrange dualityが成り立つ」という定理を証明したことである.この定理は,複体のモジュライ空間を考えることが層のモジュライ空間の性質を調べるのに役立つ,一つの例になっており興味深い.
|