2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740027
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山内 卓也 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (90432707)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ガロア表現 / 外積L関数 / Up作用素 / p安定化 |
Research Abstract |
今年度はガロア表現の変形環を調べる基本的な道具を開発すること、及び、保型表現の基本性質を調べることを目的とした。 先ず、初めにp進体の絶対ガロア群のp進体係数のガロア表現であってその像が2次形式に付随する代数群に入っている場合に古典的なTate-Senのガロアコホモロジーの計算を行った。考えている対象は代数体上定義された自己双対なモチーフに付随するガロア表現の局所化として自然に得られる対象である。成果はドイツ系の雑誌に投稿中である。 次に、京都大学の宮内通孝氏との共同研究で、代数群G=GL_n(の局所体F値点の成す群)の既約許容的かつ生成的な表現の外積L関数を調べた。一般にこの外積L関数をある種のゼータ積分で実現することが目標となるが、一般には難しいためそれを近似する形式的外積L関数の概念を導入し、それとJacquet-Shalika積分というゼータ積分が一致することを示した。さらに、このゼータ積分は考えている表現の局所新形式とシュワルツ関数を適当にとることで直接計算されることが系としてわかる。つまりこの結果はある意味でWhittaker 関数とシュワルツ関数をそれぞれ一つずつ使って得られるJacquet-Shalika積分としてでてくる因子の限界を与えたものとみることができる。成果はカナダの雑誌に投稿中である。 続いて, 京都大学の宮内通孝氏との共同研究で,連結簡約代数群に対する(生成的とは限らない)許容表現の岩堀部分群による"U_p-作用素"およびp安定化の計算手法をJacquet 加群を用いることで確立した。これは肥田理論や岩澤理論、ガロア変形環の古典点を調べる上で役に立つことと思われる。成果は現在、論文にまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究の目的はガロア表現と保型表現の関係をガロア変形論と保型性問題の帰納的構造の明確化によって解明することである。ガロア表現と保型表現の両分野は互いに関係しており、技術・手法の進歩によりどちらか片手落ちでは研究が進めにくい状況になっている。 申請者はガロア表現を調べるためにTate-Senの手法を代数群の場合に拡張したが、特にガロアコホロモジーの計算に手間取り、GSp4の変形環を調べる研究に到達できなかった。また、保型表現の基礎知識の習得およびその基本性質に関する成果を挙げるのにも想像以上の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
有理数体の絶対ガロア群GQの可約な法p表現の保型性判定法に取り組む準備は既にできているので、そのテストケースとしてGSp(4)の場合に保型性判定法の開発に取り組む。 先ず, 与えられたG_QのGSp(4)に値をとる法p可約表現Vを分類する。このうち、コホモロジカルなGSp(4)保型表現に対応する法pガロア表現として出てくるものを考える。起こり得る可能性としては, 1. endoscopic 型, 2. CAP 型がある。ケース1.の場合は既にBerger-Klosinによる先行する成果があるが、ケース2のCAP型はまだ未解決であるのでこれを扱う。また、CAP型でもとくに中間コホロモジーに寄与するような場合はSaito-Kurokawa 型であることが分かっているのでこのケースを主に扱う。証明方針はVの擬表現の普遍変形環Rと肥田のヘッケ環Tの同型を示すことにあるが、Rの適当な特殊がいつでも保型的であることを示すのに最近解決されたGL(2)/Qの岩澤主予想の結果が利用できるのではないかと期待している。 この研究が成功した場合は次にユニタリ群GU(2,1)の場合を扱い、次に一般の場合に、この種の保型性問題にはどのような機能的構造があるか調べる。つもり問題を簡単な場合に帰着できるかどうかを探る。 続いて、24年度の研究計画通り法pガロア表現に像の大きさをR=Tの手法との適合性の観点から計るbignessという概念が具体的にどのような群に対して成立するか、とくに、GSp(4)の場合に完全にしらべることを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先ず、関連する代数幾何、数論幾何、保型形式等の書籍を購入し、研究に役立てる。また、研究成果を関連研究者と意見交換するため、京都大学、大阪大学、東北大学、東京大学、IPMU等の研究機関に訪問する。それと並行して、国内外で研究成果を発表し、意見交換を行う。旅費はそれらに充てる。保型形式や楕円曲線の具体的計算のためにマグマなどの数式処理ソフトやノートパソコンを購入し、数値実験を行う環境を整備する。
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