2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740027
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山内 卓也 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (90432707)
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Keywords | ガロア表現 / セール予想 / Artin 予想 |
Research Abstract |
GSp_4 の法pガロア表現の保型性問題をより精密に調べるために、所謂、セールのイプシロン予想の重さの部分を調べることを行った。GSp_4の有限体係数に値を持つ有理数体の絶対ガロア群のセール重さとはGSp_4(F_p)の既約表現のことを指す。この定義に基づいて重さ予想が、Toby Gee とGeraghty により多くの場合に解決されている。しかし、ガロア表現の惰性群の情報から重さを読み取るには、彼らの定式化では不十分であり、GL(2)の場合のようにテータ作用素を用いた重さの変動を調べる必要がある。 申請者は先ず、GL(2)のテータ作用素に当たるものを定義し、これを用いて、重さを予想を定式化し直し、解決した。GL(2)の場合とは異なり、重さ作用素は3つある。 定式化した予想を解決するためには4次元のクリスタリン表現の法p還元の記述が必要不可欠であり、この計算には大阪大学の安田正大氏に協力を仰いだ。 続いて、GSp_4のセール予想をより精密にすべく、GSp_4のArtin 予想を定式化することを試みた。これはトロント大学のヘンリーキム教授との共同研究である。結果として、次数2、重さ(2,1)のヘッケ固有ジーゲル尖点形式Fがほとんどすべての不分岐素点でHecke 多項式が適当な代数体の整数環上で定義されていれば,Fに対してGSp_4(C)に値をもつArtin 表現を構成することができた。その応用として, Laplacian の固有値が1/4であるMaass wave form の固有値の代数性を証明した。さらに、固有値が代数的整数であると仮定すると、Artin 表現を付随させることがヘンリーキム氏との共同研究で得られた成果を使うと証明できることに気付いた。さらに、GSp_4のArtin 予想がG_Qの2次元のeven Artin 予想を導くことも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、GSp_4型のp進表現でその剰余表現が可約である場合の保型性問題に取り組む予定であったが、そもそもセール予想の定式化をしておかなければ、計画も本末転倒と思い、それを正確に定式化することを行った。その上で、上記問題に取り組んだ。研究計画を少し前倒しにした感が否めないが、その方が見通しよく研究ができるため良しとしたい。 また、ヘンリーキム氏との共同研究で得られた保型形式の技術や知識が研究を促進させ満足いく形で進展している。しかし、GSp_4型のp進表現でその剰余表現が可約である場合の保型性問題は思いの他難しく、GL_2の場合とはことなり拡大類がたくさんあり、それらは帰納的に積み上げて構成される関係にあり、対応する変形環をかなり複雑なものにしている。また、R=T側のTの解析もそれほど単純ではなく、問題をより複雑にしている。しかし、Rの環論的構造に合わせたR=Tの手法を条件付きではあるが得られたので、これを次の研究に繋げたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、剰余ガロア表現が可約な場合の保型性の判定法を調べることに専念する。可約な場合でかつ像の拡大類が一つの場合は、うまくいくが、そうでない場合は拡大類が拡大類の逐次拡大になっており、それが変形環の"可約"イデアルを複雑にしている。より正確にいうと、このイデアルは単項生成ではない。したがって、Lenstraの数値的判定法が適用できない。したがって、この場合にR=Tの判定法を新たに開発し直す必要があるのでこの研究に取り組みたい。 この研究と並行してガロア表現の像がbigness やadequate性を満たさないときどういう振る舞いを見せるか調べるという当初の研究計画を遂行する。テストケースとして、GL_2 で調べ、その後GSp_4 やGL_n の場合に問題を拡張して調べることを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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