2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740027
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山内 卓也 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (90432707)
|
Keywords | GSp4 / Serre conjecture / Galois representations |
Research Abstract |
昨年度の研究に引き続き、GL(2)に対するセール予想をGSp4の場合に一般化することに取り組んだ。先ず、セール予想を定式化する上で, 現代流行のやり方である、モジュラー表現を用いた定式化ではなくセールが元々考察した古典的な重さを用いた定式化を試みた。先ず、予想を定式化するために与えられたモジュラーなGSp4に像をもつ法pガロア表現からどのような性質をもつ保型形式がそれに対応するのかを見定める必要がある。これはGL(2)の場合は、同伴形式、Hasse 不変量、テータサイクルを用いて記述されることが分かっている。これはEdixhoven によって研究されており, GL(2)のガロア表現がモジュラーならそれがどのようなモジュラー形式からくるかを我々は知ることができる。このことはセール予想を帰納法を用いた証明することを可能にした。さて、GSp4の場合に移ると, ナイーブに定義されたHasse 不変量は機能しないため、単純にGL(2)の論法を移植することはできない。そこでエケダール-オールト階層を用い、そのザリスキ閉方上にある切断を構成することで, 部分的Hasse 不変量を定義し, これと最近の志村多様体上のHodge 束のコホモロジーの消滅定理を合わせることで, 任意の次数2のコホモロジカル、ジーゲルモジュラー形式は低い重さのジーゲルモジュラー形式からスタートして, Hasse 不変量を掛けることで得られることが示される。これはGL(2)の場合のweight 還元定理のGSp4の一般化にあたる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定では、今年度中にセール予想を定式化する予定であったが、それに思いのほか時間がかかったことが理由である。またGL(2)の場合と違い, GSp4の場合は組み合わ論的な複雑さ、煩雑さが増して本質的性質を見抜くのに時間を要した。またGauss-Manin 接続の計算もGL(2)の場合と比べて複雑でさらにモジュラー表現の既約分解の性質も援用する必要があり単純ではなかった。しかし、苦労した分、この定式化を用いて, GSp4のセール予想を証明するためには, 本質的に2種類のモジュラー形式の保型性を議論すればいいことがわかり、これは大きな前進ではないかと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
セール予想が定式化できたのでこれを証明することに専念する。 まず, 前年度に引き続き、剰余ガロア表現が可約な場合の保型性の判定法を調べることに専念する。この研究と最近のR=Tの最新技術を駆使して, セール予想を解決することを試みる。 また,離散系列の極限に当たるコホモロジカルでない ジーゲル保型形式に対するガロア表現がどのように定式化されるかも調べる。 これはGL(2)でいうところのArtin 予想の一般化である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外学振で海外で研究し、多忙であったため、旅費等の予算を使う機会を逃してしまったため。 今年度に得られた成果をもとにさまざまな専門家と意見知識交換を行いたいためそれに旅費を充てる。
|