2012 Fiscal Year Research-status Report
対数幾何学における代数的K理論の類似物の研究とその数論幾何・代数幾何への応用
Project/Area Number |
23740030
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
萩原 啓 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (30512173)
|
Keywords | 代数的K理論 / 対数的幾何学 / 代数的サイクル |
Research Abstract |
代数的K群とは、スキームの不変量の一つであり、ゼータ関数の特殊値との関係やGrothendieck-Riemann-Rochの定理などを始めとして、代数幾何・数論幾何において重要な役割を果たす。従って、その対数幾何学における拡張の一つであるKummer etale K群もまた、当該諸分野への様々な応用があることが期待される。 それを踏まえて、昨年度に引き続き、Kummer etale K群の諸性質を調べるとともにその数論への応用について考察した。 具体的には、昨年度までに得られていた結果を発展させて、対数的Riemann-Rochの定理を、一般の体上非特異かつ対数的非特異な対数的代数多様体間のexactな固有射に関しても成り立つことを示し、また、非特異とは限らない対数的多様体に対しても、対数的Riemann-Rochの定理を定式化および証明することを念頭に、いくつかの例を計算し、その結果について考察を行った。 一方、現在までに得られている定理の数論的な応用に向けて、昨年度に引き続き、モジュラー曲線を始めとする幾つかの数論的に重要な代数多様体に対して、その不変量の計算を行い、これに対し数論的観点からの観察を行った。特に、モジュラー曲線への群作用と虚二次体の類数との関係についてのHeckeの定理およびその拡張の一つである中島匠一氏の定理について、対数的幾何学から与えられる別証明を、一般Bernoulli数との関わりを中心に、p進的観点から検討・考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度にある程度達成する予定であった、非特異とは限らない場合の対数的Riemann-Rochの定理の定式化については、未だ十分には達成されてはいない。 また、目標の一つである、数論的不変量のp進的挙動に関しても、未だ大きな進展は見られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を踏まえ、引き続き非特異とは限らない場合の対数的Riemann-Rochの定理の定式化および証明について考察するとともに、諸例の不変量の計算・観察を通じて代数幾何・数論幾何への応用および数論的に興味深い現象の発見に従事する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|