2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740034
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
加塩 朋和 東京理科大学, 理工学部, 講師 (10403106)
|
Keywords | L関数 / 周期 / p進L関数 / p進周期 / スターク予想 / グロス予想 / ガンマ関数 / p進ガンマ関数 |
Research Abstract |
申請者の研究テーマは「L関数と周期の関係及び関連する数論的諸問題」である。これは解析的に定義されるL関数の(広い意味での)特殊値と、幾何的、数論的に定義される、ある種の不変量との関係を明らかにすることを目的としている。この分野に関して、とくに以下の既存の問題があった。スターク予想:Artin L関数の s=0 でのテイラー展開の先頭項係数とスターク単数と呼ばれる代数体の単数群の元の間には明示的な関係式が成り立つ。CM周期に関する吉田予想:Artin L関数の s=0 でのテイラー展開の第二項係数とCM周期と呼ばれる超越数の間には明示的な関係式が成り立つ。 申請者はこれまで、これらの問題に対して部分的結果、新たな問題の定式化、そしてそれらの関係を解明してきた。とくに平成24年度には以下の実績がある。(1)スターク予想とCM周期に関する吉田予想には密接な関係があることを明らかにした。とくに両者を統一的に扱うことのできる予想式を定式化し、研究集会において発表した。また論文にまとめ投稿中である。(2)スターク予想とその一般化をテーマとした研究集会「第20回整数論サマースクール・Stark予想」を企画し、開催した。またその場において、一講演者としてスターク予想の概説と、自身の研究成果を発表した。またこれらの結果を報告集として出版予定である。(3)スターク単数が自然にいくつかの不変量の積となることを利用し、それらの代数性に関して部分的結果を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度以降の研究目的のうち、 ・Stark予想に関する研究集会の開催と、それに伴う研究成果発表 ・L関数のテイラー展開の第二項に関する研究を推し進める に関しておおむね予定通りの結果が得られた。また ・p進周期の計算方法を、具体例を通して探す という目標達成のため、フェルマー曲線の周期計算を行った結果、副産物としてスターク単数の代数性に関する新しい解釈を発見した。これにより、自身の研究にとって、中心となるテーマと出会えた。総合的にみておおむね順調に進展していると言ってよい。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに有理数体上のスターク単数の代数性が、円分体の作用するフェルマー曲線の周期、p進周期の計算により、導かれることを見つけた。今後は以下の方策を考える。 (1)スターク単数の代数性だけでなく、単数性や相互法則が導けないか調べる。 (2)有理数体上のスターク単数だけでなく、一般の総実体上のスターク単数の代数性がCM理論から導けないか調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CM周期やそのp進類似の計算を必要とするため、数論幾何、代数幾何、解析的整数論の知識が必要となる。このため国内外の専門家と打ち合わせるための旅費や専門書の購入費が必要になる。また実際の計算に用いる計算機や周辺機器の購入を予定している。 さらに平成24年度に開催した研究集会「第20回整数論サマースクール・Stark予想」の報告集の出版費も必要になる。
|