2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740034
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
加塩 朋和 東京理科大学, 理工学部, 講師 (10403106)
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Keywords | L関数 / 周期 / p進L関数 / p進周期 / スターク予想 / グロス予想 / ガンマ関数 / p進ガンマ関数 |
Research Abstract |
申請者の研究テーマは「L関数と周期の関係及び関連する数論的諸問題」である。これは、数論的研究対象に付随するL関数の特殊値や微分値と、おなじ数論的研究対象に付随する代数的不変量の関係を解き明かすことを目的としている。とくに、数論的研究対象として代数体の整数環をとったとき、この問題はStark予想という名前で呼ばれている。 申請者はこれまで、多重ガンマ関数やそのp進類似、およびCM周期やそのp進類似といった新しい手法を導入することで、Stark予想に対していくつかの部分的結果を与えてきた。とくに当該年度においては以下の実績がある: 1.H24年度に開催した「第20回整数論サマースクール・Stark予想」で発表された内容を報告集にまとめ、公表した。これには申請者自身の概説も含まれる。 2.Stark予想は、基礎体が有理数体の場合には、いくつかの特殊関数を用いた初等的手法で解決されている。申請者は同じ場合に、ガンマ関数、CM周期やそれらのp進類似を用いた数論幾何的手法で別証明できることを発見し、早稲田大学整数論セミナーにおいて発表し、研究討論した。また現在論文を準備中である。 3.Stark予想は、一般の基礎体の場合には未解決問題である。またほとんどの場合には解決の糸口さえつかめていない。申請者は基礎体が総実体である場合には、この問題が志村五郎氏のCM周期記号と、吉田敬之氏のCM周期に関する予想と深く関連することを発見し、研究集会「Automorphic Functions and Arithmetic Geometry」において発表し、研究討論した。また現在論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度における当初の目的であった「p進周期の計算」「志村多様体の応用」の二点を実施することができなかった。ただし ・前者に関し、現在いくつかの新しいCM型超楕円曲線の具体例が発見されており、その利用を模索中である。 ・後者に関し、志村多様体そのものは考察できていないが、Stark予想の数論幾何的解釈に関する考察が進んでいる。 これらのことから、総合的に見て、研究の目的の達成度は「やや遅れている」程度であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Stark予想はStark単数という代数的数に関する理論である。この代数的数を集めることでEuler系と呼ばれる、ガロアコホモロジー等の計算道具が作れることが知られている。今後の研究の主題として、このEuler系への応用を考えている。また、前年度までの研究テーマも引き続き研究していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の報告集出版費用が予想を下回った。 これに加え、今年度にいくつかの研究がずれ込み、研究成果発表や研究討論のための出張が多く見込まれる。さらに11月には国際研究集会を開催する予定で、関連する出費が見込まれる。 数論幾何・解析的整数論の知識を得るため、多くの専門書の購入と、国内外の研究者との打ち合わせのための旅費が必要になる。とくに当該年度に行う研究の一部が今年度までずれ込み、関連して、今年度に多くの出張を行う予定である。このために例年より多くの旅費を計上している。さらに、いくつかの数値計算のため、計算機やその周辺機器の購入を予定している。
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Research Products
(6 results)