2012 Fiscal Year Research-status Report
多重高次Mahler測度の数論的および幾何学的解釈の研究
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23740036
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
佐々木 義卓 大阪体育大学, 体育学部, 講師 (20548771)
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Keywords | Mahler測度 / L関数 / ゼータMahler測度 / ポリログ関数 / 多重ゼータ値 / 多重L値 |
Research Abstract |
多重高次Mahler測度の代数的構造を研究するために、多重高次Mahler測度と多重L値の関係解明や多重L値の関係式に関する研究を行った。多重L値と関係する多重高次Mahler測度の具体例を構成した。現在、この結果をもとに、多重高次Mahler測度の母関数の構成など、多重高次Mahler測度と多重L値の関係の総合的な理解に向けた研究に取りかかっている。荒川・金子のゼータ関数の拡張を通した多重L値間の関係式解明に関する研究も行った。Riemannゼータ関数を拡張した荒川・金子のゼータ関数の構成法を解明し、それをDirichlet L関数に適用することで、多重L関数と関連する新たな関数を導入した。さらに、この関数の性質を援用することで、多重L関数の関数関係式を導いた。この関数関係式を応用して多重ゼータ値を多重L値に拡張したときに現れるずれの定量化に向けた研究を進めている。また、拡張した荒川・金子のゼータ関数の特殊値を多重Euler数と定義し、その性質解明の研究を行った。多重Euler数は古典的なEuler数をより広い視野で捉えたものであり、その研究にはEuler数の性質・情報が重要になる。Euler数の数論的性質だけでなく、Euler数の計算アルゴリズムの組合せ論的理解など新たな視点から研究を進めたことで、多重Euler数の多くの性質を解明した。また、部分的ではあるが多重Euler数がある格子上の点の個数と一致することを発見した。これは組合せ論的に定まる数であり、それに沿うような帰納的関係式や正値性など、一般に多重Euler数が組合せ論的解釈を有することを強く支持する結果を与えた。この研究結果をNewcastle大学でのセミナー(OANTS)を含む複数の研究集会で講演を行い、好評を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重高次Mahler測度とポリログ関数の関係を解明し、それにより多重高次Mahler測度の代数的な構造を解明することを計画していた。すでにいくつかの具体例を構成しており、現在、それを拡張してより広い視野でとらえるために母関数による研究を進めている。また、多重高次Mahler測度の母関数構成に援用するために、ポリログ関数や多重L値の関係式についても研究を進めた。課題解決に向け多くの情報を収集できているので、おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、多重高次Mahler測度の母関数による研究を進めているが、多重L値やポリログ関数の関係式についての情報がさらに得られれば、研究を大いに援助できると考えている。また、多重高次Mahler測度の母関数の構造や性質に関する情報をさらに収集し研究に応用していくことで、今後の研究発展を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)