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2013 Fiscal Year Research-status Report

代数曲面上の安定層のモジュライスキームの双有理幾何的性質の研究

Research Project

Project/Area Number 23740037
Research InstitutionOkayama University of Science

Principal Investigator

山田 紀美子  岡山理科大学, 理学部, 講師 (70384170)

Keywordsモジュライ / ベクトル束 / 安定連接層 / 代数曲面 / 変形理論 / 特異点 / 双有理幾何
Research Abstract

非特異複素射影曲面X上の偏極Hに対し安定な層のモジュライスキームM(H)は、具体的な高次元スキームである。一方、双有理幾何は、高次元代数多様体を調べるのに重要な理論の一つである。本研究の目的はM(H)を双有理幾何学に注目して性質を解明することであり、そのために問題「M(H)は標準特異点しか持たないのか?」を知るのが重要である。
平成25年度は、24年度に引き続き、Xが楕円曲面(小平次元1)の時にこの問題を考察した。この問題は二つの側面がある。一つは、層の変形理論と相性の良い、特異点が標準であるための判定法を探すこと(特異点論的側面)、もう一つは、その判定法の条件を安定層が満たすか否かを調べること(層の理論的側面)である。
安定層$E$がモジュライスキームの特異点を与えるとき、0でない準同型$f:E\rightarrow E(K_X)$でトレースが0であるものが存在する。24年度終了時までには「$E$が局所自由で$\det f=0$」の時に「層の理論的側面」を考察した。25年度前半も「層の理論的側面」を考えた結果、「$E$が局所自由」という条件はおおむね取り除け、「$\det f \neq 0$」の時にもこの問題へのアプローチが見えてきた。ただし「層の理論的側面」の考察が進むと「特異点論的側面」がこれまでの知見では足りない場合も出てきた。そこで25年度後半では「特異点論的側面」も考察した。
これらの考察を経て、25年度末ごろから研究内容を原稿にまとめ始め、原稿作成作業は現在(26年度5月)も続行中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Xが楕円曲面の場合にこの問題を考え始めて2年ほどであるが、有効なアプローチを示す見通しがついてきたし、当初は想定していなかった特異点論的側面の具体化にも着手している。
本研究を23年度に着手した時は、層のモジュライの特異点をどう調べるべきか方法論は知られていなかったが、エンリケス曲面の場合は一般的な解答がすでに得られた。楕円曲面上の安定層のモジュライの大域的・双有理構造の研究は、1990年度以降はあまり活発とは言えず、参考文献も少ない。この状況の中、本研究では楕円曲面の場合に具体的に研究を深めつつある。従って、研究はおおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

まずは、「研究実績の概要」で述べた通り作成中の原稿を完成させることで、これまでの研究での正確さを確保し、何が分かり何が問題なのかを整理してはっきりさせる。原稿が完成すれば、国内外で研究発表を積極的に行い、広く意見交換をしたい。
Xが楕円曲面の場合にこの問題を考察中だが、M(H)の大域的な性質を調べるためには、注意すべき連接層が何かはっきりさせ、それを深く研究していきたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年度は、研究を進捗させることはできたものの、原稿にまとめられる所にはまだ到達していなかった。小平次元正の楕円曲面上のベクトル束のモジュライを研究する人は多くないため、研究がまだ発展途上の時点では、広く人に会いに行くよりは、研究に専念した方が良いと思われた。このため、研究打ち合わせや発表などで出張に出かけることが少なくなり、結果として次年度使用額が生じた。
当該年度の末より研究結果を原稿にまとめており、この原稿がまとまり次第、そこで得られた知見を広め深めるための研究打ち合わせや発表のための出張のために、旅費として使用する予定である。

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Published: 2015-05-28  

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