2014 Fiscal Year Research-status Report
代数曲面上の安定層のモジュライスキームの双有理幾何的性質の研究
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23740037
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
山田 紀美子 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (70384170)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | モジュライ / ベクトル束 / 小平次元 / 特異点 / 楕円曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
非特異複素射影曲面X上の偏極Hに対し安定な層のモジュライスキームM(H)は具体的な高次元多様体である。本研究の目的は、M(H)を双有理幾何学(例、飯高プログラムや極小モデル理論)に着目して性質を解明したい、ということである。 平成26年度は、(0)Xが楕円曲面で、層の第1チャーン類のfiber degreeが0の時に(1)M(H)のK-次元(素朴な意味での小平次元)の実用的な評価結果を探す、(2) 層の変形理論と相性の良い、特異点が標準であるための十分条件(判定法)を探す、(3) (2)の判定法の条件を安定層が満たすかどうか調べる、の3問題に取り組んだ。 条件(0)の意義を説明する。Xが楕円曲面で「層の第1チャーン類のfiber degreeと層のランクが互いに素(*)」である時は、M(H)が多くの場合J(X)のヒルベルトスキームに双有理同値であることが分かっているなど、上記の問題の解明はある程度進んでいる。一方で条件(0)の場合M(H)の小平次元に関する評価はほとんど知られていない。これは、安定層のgeneric fiberへの制限が、条件(*)の時は安定になるが、条件(0)の時は安定ではなく半安定でしかないからである。 (1)は昨年度までは未着手だったが、(2)(3)の進行に伴い(1)についても考える必要が出てきたため、今年度考察した。(2)(3)についても昨年度より考察を深めた結果、楕円曲面のあるクラスについてM(H)の小平次元の具体的評価が得られる見込みが出てきた。現在は以上の結果を原稿にまとめる作業を行っている。また、代数学シンポジウムなど国内外数か所の研究集会・セミナーで口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要の問題(3)の考察が進行したり(1)の評価を整理した結果、昨年度までと異なり、具体的なXに対しM(H)の小平次元などの評価が見込めるようになってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究業績の概要の問題(3)の考察を通しM(H)の特異点をより深く調べることで、M(H)の小平次元の評価ができる楕円曲面Xのクラスを増やす等により、目的となる研究を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
科研費の主な使用目的は「研究成果の発表のための旅費」だが、研究を実際に進めた結果、「発表する段階で解決しておきたい問題」が計画当時と比べて増加・追加された。研究内容が計画時より膨らんだと言えるが、研究をこの段階まで進めることを優先した結果、研究成果の発表を行う時期が遅れた。追加された問題は例えば「特異点が標準である実用的な十分条件を求める」である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究内容が、追加された問題も含めてある程度進行してきたので、次年度に研究発表を行いたい。未使用額は研究発表のための出張旅費に活用する予定である。
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Research Products
(1 results)