2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740039
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Research Institution | Kagawa National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 文敏 香川高等専門学校, 一般教育科, 講師 (20548309)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アーベル商 / Gromov-Witten不変量 / orbifold cohomology |
Research Abstract |
非特異代数多様体Xに代数群Gが作用しているとき、Gによる商(非アーベル商)X//GとGの極大トーラスTによる商(アーベル商)X//Tが考えられるが、この2つの商空間のorbifold cohomologyの比較を行った。具体的にはそれぞれの空間のマルチセクターがどのように対応しているかを調べることによってベクトル空間としてのorbifold cohomologyに関する完全系列を求め、さらにマルチセクターのファイバーの接空間の補空間の固有値を求めることによってGのどの正ルートが積構造のねじれに寄与するかを調べ、環としての積構造の違いを定式化した。現在、論文として出版するために執筆を行っている。 また、以前に執筆した、"Mathematica Scandinavica"に投稿中であった論文"The Chow Motives of Relative Fulton-MacPherson Space"の出版にあたり、レフリーからの指摘によりCohomology群についての証明にギャップがあることが分かりその訂正を行った。そして、再度、校正をし直し2012年度中に出版される予定である。 また、射影多様体とグラスマン多様体の種数0のGromov-Witten不変量についての文献を読みGromov-Witten不変量がどのような方法で計算されるのかの理解を深めた。どのような手法を使えばアーベル商と非アーベル商のGromov-Witten不変量を比較できるのかの考察途中にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではorbifold cohomologyについての論文の執筆までが今年度の予定であったが、残念ながら現在はその執筆途中である。しかしながら、投稿中であった論文"The Chow motives of relative Fulton-MacPherson space"のレフリーにより指摘された部分の訂正を行い、2012年度に出版するにいたったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アーベル商と非アーベル商のOrbifold Cohomologyの比較についての論文を早い時期に執筆を終わらせ、夏ごろには共同研究者であるBumsig Kim氏と最終打合せを行い、再度の校正をし学術雑誌へ投稿したい。 それが終わり次第、Quantum Cohomologyの情報を含む母関数であるJ-関数についての比較へと移って行きたい。この場合は一般の非特異代数多様体Xについていきなり比較するのは難しいと思われるため先ずはX=n次元の複素affine空間, G=U(k)の場合を考える予定である。この場合、アーベル商は射影空間の積であり、非アーベル商はグラスマン多様体になり、特にこの問題はHori-Vafa予想とよばれている。しかし、この場合は既にAaron Bertram, Ionut Ciocan-Fontanine, Bumsig Kimによりそれぞれの空間のJ-関数を別個に計算し、その差がHori-Vafaの予想したものであることが示された。だが、全く理論的な理由付けが分からないままである。 そこで当面はn,kが小さい場合について理論的に証明を与えることを目指す。具体的にはJ-関数はトーラスの固定部分多様体の法ベクトル束によって定まるものであるので非アーベル商とアーベル商のそれぞれにあらわれるトーラスの固定部分多様体の法ベクトル束がどの様に対応するのかを調べる予定である。 また、次年度使用額が219,952円ある理由は1月に交通事故に遭い、通院が必要であったため参加予定であった研究集会への参加をとりやめたために発生した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のように、共同研究者のBumsig Kim氏との打合せのために2回程度、韓国へ行くために30万円程度を予定している。 また、7月に大阪市立大学で行われる"MSJ-Si 2012 Schubert Calculus"の研究集会とその他の研究集会へ参加するために25万円程度を予定している。 物品としては代数幾何関連の書籍の購入を27万円、コンピュータの購入で20万円を予定している。
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