2011 Fiscal Year Research-status Report
ループ群の複素化と実形による定曲率空間の曲面の構成
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23740042
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 真平 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (40408654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 平均曲率一定曲面 / ループ群 / 可積分系 / 線形常微分方程式 |
Research Abstract |
本年度はループ群を用いたさまざまな空間内の可積分曲面(平均曲率一定曲面、ガウス曲率一定曲面等を含む曲面のクラスの総称)のワイエルシュトラス型の公式の導出を目標とした。その結果、三次元ハイゼンベルグ群内の平均曲率一定曲面に対して、ループ群を用いた定式化を行い、特に極小曲面(平均曲率が0の曲面)に対しては、ワイエルシュトラス型の表現公式を導出した。 三次元ハイゼンベルグ群は、サーストンの8つのモデル幾何のうちのひとつで、等長群の次元が4である等質空間である。したがってユークリッド空間(等長群の次元は6)に比べて対称性が低い。可積分曲面は、ある意味で高い対称性を持っているはずであり、ハイゼンベルグ群内の曲面に対しては、可積分系の手法(特にループ群)は馴染まないと考えられて来た。しかしながら、本年度の研究では、このような空間内の曲面に対しても可積分系の手法が有効である事を確かめる事ができた。今まで知られているワイエルシュトラス型の表現公式とは違い、ハイゼンベルグ群内の極小曲面の公式は多少複雑である。従って、この公式を用いた具体例や曲面の性質を調べるまでには至っておらず、今後の研究課題である。 本研究は、ユークリッド群より小さい群が作用する幾何学における停留曲面に対するワイエルシュトラス型の表現公式と位置づける事ができ、研究目的としているユークリッド群より大きい群が作用する幾何学における停留曲面の研究と対をなしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であった「可積分系の理論を用いた曲面の構成法や変換の理論を研究」に対して、三次元ハイゼンベルグ群内の平均曲率一定曲面の研究、特にループ群を用いた定式化ができており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
複素化と実形を用いた統一的なワイエルシュトラス型の表現公式の実現を目指したいと考えている。また23年度で発見したハイゼンベルグ群内の極小曲面に対するワイエルシュトラス型の表現公式を用いて、具体例の構成やその性質を解明したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は、東日本大震災の影響で、さまざまな研究集会等が中止または延期になった事から研究の進捗状況に若干の遅れが生じた。24年度は、積極的に研究集会に参加、研究打ち合わせを行い、研究を進展させる予定である。 24年度は次の1.2.の項目に対して研究費を使用する予定である。1.研究打ち合わせ・成果発表・専門知識の提供2.研究資料の購入
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