2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740049
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深谷 友宏 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40583456)
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Keywords | 国際情報交換(フランス,アメリカ) |
Research Abstract |
Coarse Geometryとは有界距離空間を「荒く」眺めたときに見えてくる性質を研究する分野である.この分野における中心的な問題はCoarse Baum-Connes予想と呼ばれる予想である.これは固有な距離空間を対象とし,Coare mapの集合をcloseという関係で割った集合を射とするカテゴリー(Coarse Category)上の二つのホモロジー論,Coarse K-homlogyとRoe代数のK群が一致するという予想である.加算群Gに適当な距離を入れて距離空間と見なしたとき,Gに対するCoarse Baum-Connes予想はGを基本群に持つ閉多様体に対するNovikov予想やGromov-Lawson予想を導く事が知られている. 我々の研究では,相対双曲群と呼ばれるクラスに属する群に対してこの予想を研究した.実際,すべてのPeripheral部分群が同予想を満たし,分類空間を有限単体複体で実現できるとき,相対双曲群が同予想を満たす事を示した.さらに同予想のコホモロジー版(Coarse co Baum-Connes予想)に関しても対応する主張を得た.こちらに関しては,Coarse K-theoryにおける,Coarse homotopy普遍性と,Mayer-Vietoris完全列が確立されていなかったので,まずこれらを証明して一般Coarse cohomology論を整備した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散群に対するCoarse Baum-Connes予想は,多くの研究者が研究を行っており,重要な問題でもある.その中で,相対双曲群という広い範囲の群(のクラス)に対して新たな証明が得られた事は,有意義な事であり,実際多くの関係者から驚きを持って受け入れられている.相対双曲群の一部は,オートマチック群になっており,その意味で,オートマチック群に対してCoarse Baum-Connes予想の証明するという研究目的を部分的に達成できたと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
Bowditch境界のParabolic点をBlow-upして,対応するPeripheral部分群の境界を張り合わせる事により, 相対双曲群の境界を構成するアイディアがあるので,それを完成させる.相対双曲群の中には双曲群ではないオートマチック群も一部含まれるので,その境界の性質を研究計画にそって調べ上げる. さらに,上記の構成を,非正曲率空間(CAT(0)空間等)に作用する群で,特に商空間がコンパクトでないもの(高いランクの対称空間の非一様格子等)へ拡張する事も視野に入れる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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