2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740049
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
深谷 友宏 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40583456)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 粗Baum-Connes予想 / 非可換幾何学 / Coarse Geometry / 相対双曲群 |
Outline of Annual Research Achievements |
粗幾何学(coarse geometry)では,非コンパクトな完備リーマン多様体や,語距離を入れた有限生成な無限群などの非有界な距離空間から,局所的な情報を捨て去り,「遠くから眺めたときに見えてくる構造」,これを粗構造(coarse structure)と呼ぶ,に着目して研究する.非コンパクト完備リーマン多様体上のDirac型作用素は,一般にFredholm作用素には成らない為,整数に値を取るFredholm指数を定義できない.そこでRoeはDirac型作用素の「指数」をRoe環と呼ばれるC*環のK群として構成した. さらにRoeはHigsonとともに,Dirac型作用素を粗$K$ホモロジーのサイクルと見なし,その指数を対応させる事により,Roe代数のK群への準同型写像を構成した.これらはリーマン多様体とは限らない距離空間に対して定義され,また距離空間の粗構造にしか依らない.この準同型写像を,粗組み立て写像(coarse assembly map)と呼ぶ.こん粗組み立て写像が同型になるという主張が粗Baum-Connes予想である.粗組み立て写像は,正スカラー曲率を持つ計量の非存在(Gromov-Lawson予想)や,高次符号数のホモトピー不変性(Novikov予想)への応用が有る.なお,この粗Baum-Connes予想は,非可換幾何学の中心的な話題であるBaum-Connes予想の非同変版と見なせる. これまでに愛媛大学の尾國新一氏との共同研究で,相対双曲群に対して適切な仮定の下で,粗Baum-Connes予想が成立する事を示した.最近の研究では,距離空間の直積に対して,そのを反映したコンパクト化を構成した.それを用いて,適切な条件の下で,相対双曲群とCAT(0)群とPolycyclic群の直積に対して,粗Baum-Connes予想が成立する事を示した
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