2012 Fiscal Year Research-status Report
Chern-Simons型理論の量子化にもとづくモジュラー圏の幾何学的構成
Project/Area Number |
23740051
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
五味 清紀 信州大学, 理学部, 准教授 (00543109)
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Keywords | ねじれK理論 / Hermite一般ベクトル束 / 位相的量子場の理論 / Chern-Simons理論 |
Research Abstract |
Chern-Simons理論から位相的量子場の理論の拡張を構成するという本研究課題の土台となるものはねじれK理論である。ねじれK理論をより深く理解する道具として、その特性類というものがあるが、これについては知られていることが少ない。本年度は、この特性類について研究した。具体的に調べた特性類は、Jouko Mickelssonが定義したねじれK理論不変量と呼ばれる不変量、並びにその一般化にあたる特性類である。これらを一般コホモロジー理論としてのねじれK理論の視点から説明できるようになったことが、成果の概要である。 結果のより詳細な内容は以下のとおりである。もともとのMickelsson不変量は、3次元多様体のねじれK理論の元に対する不変量である。得られた結果の一つは、まずこの不変量を一般の多様体上のねじれK理論の元に対する不変量に一般化したことである。一般化された不変量は、3次のコホモロジーのある商に値をとり、あるpush-fowardの像に含まれるねじれK理論の元については、容易に計算できる。また、この不変量の性質として、それがねじれK理論に対するAtiyah-Hirzebruchスペクトル系列の計算に現れるある写像を用いて記述できる、ということを示した。これらの結果の応用として、Lie群SU(3)のねじれK群について知られていた結果を、別の方法でより簡単に得られることを示した。また、別の結果として、Mickelssonの不変量の構成を別の方法で一般化し、5次のコホモロジーのある商に値をとるものを与え、上と同様にAtiyah-Hirzebruchスペクトル系列と関連付けた。さらに、これらの不変量の組み合わせにより、これまで知られていたねじれK理論の不変量に対する、新しい構成方法を与えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
同変ねじれK理論がその同型類を分類するような圏を構成することが主要なステップであるが、この圏が期待する性質を持つように構成することが想定以上に難しかった。しかし、昨年に引き続いた研究で、問題解決のため向かう方向が見えてきた。 一方で、Mickelsson不変量として知られるねじれK理論の特性類について新たな知見を得ることができたため、本研究課題の研究目的を達成するために必須であるねじれK理論の理解は着実に深まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本研究課題の研究目的を達成するための主要問題である、同変ねじれK理論がその同型類を分類するような圏を幾何学的に構成方法を調べる。この問題を解決するために昨年得たアイデアに加えて、新たに有効と思われるアイデアがある。この方向性に従って、これを研究する方針である。 また、目的達成に有効と思われるならば、関連するテーマについても、積極的に研究をしていくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外の研究者との研究打ち合わせのために旅費等を使用する予定である。また研究遂行上必要な知識を得るために、書籍を購入する予定である。 当初計画では、海外出張を本年度実施予定であったが、研究の進捗状況により、次年度実施することになったため、次年度使用額が生じた。
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