2014 Fiscal Year Annual Research Report
Chern-Simons型理論の量子化にもとづくモジュラー圏の幾何学的構成
Project/Area Number |
23740051
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
五味 清紀 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (00543109)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ねじれK理論 / 位相的T双対 / 位相的絶縁体 / 四元数ベクトル束 / FKMM不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
物性理論においてAIIと呼ばれる位相的絶縁体のクラスに相当する量子系は, 「四元数」ベクトル束のなすK理論で分類されると考えられている. 昨年のGiuseppe De Nittis氏との共同研究で, ある種の低次元多様体上の「四元数」ベクトル束は, FKMM不変量で完全に分類されることが明らかにされていた. 引き続いた研究で, この不変量から誘導されるFu-Kane-Mele型の符号不変量が, 3次元多様体上ではChern-Simons不変量によって, 2次元多様体上ではWess-Zumino項によって記述できることも証明した. 同様に, AIと呼ばれる位相的絶縁体のクラスに相当する量子系を, K理論によるものより精密に分類するために適当な幾何学的な対象として, カイラルベクトル束という概念を導入した. カイラルベクトル束の分類空間の具体的な構成を与え, 分類空間のコホモロジー環を決定した. また4次元までの低次元多様体上での分類が, 分類空間のコホモロジー類によって定義される「カイラルベクトル束の特性類」によってできることを, ひとつの場合を除いて証明した. 例外となる場合は, 上で述べた特性類以外の不変量が必要となる. また, 塩崎謙氏および佐藤昌利と協力し, 位相的結晶絶縁体の文脈で関連するねじれK理論の計算を行った. この計算結果から, 時間反転対称性や粒子・正孔対称性がなくても, 符号不変量で分類される絶縁状態が存在しうることを発見した. 他方で, 超弦理論におけるT双対から派生した位相的T双対についての研究を行い, 通常のZ/2同変円周束と「実」円周束が, これまでに知られている位相的T双対の一般化として, 位相的T双対の関係を持つことを示した.
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