2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
澁谷 一博 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00569832)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 微分式系のダルブーペア(アメリカ) |
Research Abstract |
微分式系(多様体上の接空間の部分束)の理論、田中理論を用いて微分方程式の幾何学的構造の研究を行った。2独立変数1未知関数2階の単独型偏微分方程式は双曲型、放物型、楕円型に分類される。微分式系の理論ではそれらの型はジェット空間内の部分多様体としての微分式系の構造方程式を用いて特徴付けられる。 申請者は研究協力者の野田尚廣氏との共同研究において上記概念の一般化として双曲型微分式系、放物型微分式系、楕円型微分式系を定義して研究を行っている。しかし、どのような微分式系、微分方程式がそれらの構造をもつかは知られていなかった。 そのような状況の下、申請者は微分式系全体の中で双曲型微分式系、放物型微分式系、楕円型微分式系のどれかを持つための必要十分条件を微分式系の基本的な不変量である派生形の階数、コーシー特性系を用いて特徴づけた。さらにその結果の微分方程式への応用として、2独立変数m未知関数k階のr関係式偏微分方程式系が双曲型微分式系、放物型微分式系、楕円型微分式系の構造を持つための必要条件を明らかにした。それにより双曲型微分式系、放物型微分式系、楕円型微分式系の構造をもつ微分方程式の豊富な例を構成することに成功した。 上記成果は現在論文に執筆中にである。また研究集会『第58回幾何学シンポジウム』山口, 2011年8月.など複数の研究集会において上記成果を「Rank 4 distributions of type hyperbolic, parabolic and elliptic」として講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の計画通り進んでいて、研究業績で述べた成果が出ている。その理由は以下になる。・研究協力者を招へい、または訪問して綿密な議論、打ち合わせを行うことができた。・各種研究集会において参加、講演した際に他講演者、聴講者から有益な助言を得ることができた。・書籍等により本研究に必要な資料、情報を集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果により2独立変数m未知関数k階のr関係式偏微分方程式系が双曲型、放物型、楕円型微分式系を持つための必要条件が明らかになった。今後は特に双曲型2独立変数1未知関数3階の2関係式過剰決定系偏微分方程式系の詳細な研究を行う。 双曲型2独立変数1未知関数2階の単独型偏微分方程式に対してモンジュ系を用いたダルブーの方法が求積法の一つとして知られているが、研究協力者のIan Anderson氏らによってダルブーの方法は(外)微分式系に一般化されている。そのような中、双曲型2独立変数1未知関数3階の2関係式過剰決定系偏微分方程式系へ一般化されたダルブーの方法の適用を試みる。その過程においてモンジュ系、無限小自己同型、ベシオット群の構造が明らかになり、解の構成が可能になることが期待される。 また双曲型、放物型微分式系に対してモンジュ系が定義されるがその構造の解析、特に特異性の研究を研究協力者の矢野充志 氏と行う。それにより高階の微分方程式の特異解の構成が可能になることを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方針でも述べたが、本研究の推進には研究協力者との連携が不可欠である。Ian Anderson氏、山口佳三 氏、野田尚廣 氏、矢野充志 氏らとの研究打ち合わせのための旅費を必要とする。 また本研究は微分方程式、微分幾何学、トポロジー、代数幾何学と多方面の分野と関係があり各種研究集会での講演、情報収集が研究の推進に必要とされるためそのための旅費、さらに資料収集のための費用も要求される。
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