2011 Fiscal Year Research-status Report
トーラス束によるリーマン・ロッホ数の局所化の研究とその応用
Project/Area Number |
23740059
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
藤田 玄 学習院大学, 理学部, 助教 (50512159)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | Dirac型作用素 / 指数の局所化 / シンプレクティック幾何 / 同変指数 |
Research Abstract |
本年度の主要な研究成果は以下の二点である。(i)トーラス束とそのファイバーにそったDirac型作用素の族による開多様体上の指数理論とその局所化について、非自明な計算例として球面の余接束と測地流に関するものを考察した。その結果、ゼロ切断の近傍の構造から定義される局所指数の値が1であることがわかった(ただし球面の次元が0の場合は局所指数の値は2)。計算にはあるGrassmann多様体を余接束のコンパクト化として記述すること、シンプレクティックカットに関する指数の局所化公式、が必要となる。なお、この球面の余接束の局所指数の計算例は、Riemann面上のSU(2)平坦接続のモジュライ空間のある特異ファイバーの近傍のモデルの役割を果たすことが期待される。(ii)群作用がある開多様体上の同変指数理論のひとつとしてBravermanによる理論がある。その理論では群のLie環に値を持つ同変写像に付随するベクトル場のClifford積によるDirac作用素の摂動を用いる。その理論で群作用としてトーラス作用を考えると、トーラス軌道に沿ったDirac作用素による摂動を用いる我々の理論との類似性があることがわかる。しかし極めて単純な2次元の例での考察をすすめるうち、これら2つの理論は全く異なるものであることがわかった。この結果は、群作用がある状況での我々の理論の応用を目的とするならばややnegativeな結果であるが、我々の指数理論が群作用に依存しているものではない、ということをより強く主張する結果ともいえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、トーラス束とそのファイバーにそったDirac型作用素の族による開多様体上の指数理論とその局所化について、以下の2点を研究することであった。(1)具体的な可積分系、とくにRiemann面上のSU(2)平坦接続のモジュライ空間、に対して応用すること。 (2)既存の局所化の理論との関係をにらみつつその理論的側面を発展させること。上述の研究実績の概要はこれらの目的についての順調な進展であるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)球面の余接束とモジュライ空間の特異ファイバーの近傍の関係を考察し、モジュライ空間に対する局所指数の考察を進展させる。(2)Bravermanの同変指数理論との違いが確認されたので、その違いの本質的な原因を探る。また、Bravermanの理論に関する既存の結果が我々の理論ではどうなるかを考察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は震災の影響等で研究成果発表がやや少なくなってしまったので、今年度以降はこれまでの研究成果を積極的に発表していく。また、国内外の研究者との活発な研究交流を行う。
|
Research Products
(3 results)