2012 Fiscal Year Research-status Report
トーラス束によるリーマン・ロッホ数の局所化の研究とその応用
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23740059
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
藤田 玄 日本女子大学, 理学部, 講師 (50512159)
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Keywords | 指数の局所化 / Dirac型作用素 / 同変指数 / シンプレクティック幾何 |
Research Abstract |
今年度の研究実績として、以下の(i)(ii)が挙げられる。 (i)トーラス束とそのファイバーに沿ったDirac型作用素による摂動を用いた指数の局所化の理論に関する論文の改訂作業を行った。大きな変更点としては、ある種のファイバー束の整合的な族として導入したcompatible fibration という概念に関して、整合性条件として不必要だったものがあったので、削除し定義を簡明にした。また、構造の非退化性を意味するacyclicityの条件を弱いものと強いものの2種類定義していたが、強いものだけで十分であるという結論に至り、修正した。他にも大小様々な改訂によってより洗練された定式化が得られ、記述も簡明になった。引き続き改訂作業を進めている。 (ii)昨年度考察した横断的楕円型作用素の指数との関係の考察を進めた。研究結果を論文にまとめ、複数の研究集会および学会で成果発表を行った。その論文において、円周の作用をもつ非コンパクトなシンプレクティック多様体に対してある種の同変指数を定義し、その同変指数に対する量子化予想の定式化を与えた。ひとたび定式化ができてしまえば、その証明は指数の局所化の議論によりコンパクトな場合と同様になされる。一般のトーラス作用に対する考察も可能であると思われるが今後の課題である。またここで定義される同変指数は通常の同変指数と異なり、一般には既約表現の無限和になり得る。この同変指数とBravermanによる横断的楕円型作用素の指数の摂動による解析的な実現を比較した。標準的な構造をもつ2次元シリンダーに対して直接計算することでそれらが異なるものであることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者および研究協力者の研究環境の大きな変化により、研究に費やす時間や議論する時間がうまく取れず、進度に遅れを生ずる結果となってしまった。しかし、論文の改訂作業によりこれまでの研究を俯瞰的に見直すことができた。また、既存の研究結果との関係を明確にすることができたことは進展であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 論文の改訂作業を完了させ、指数の局所化の理論の基盤を確固たるものにする。 (2) これまでの研究を統合し、平坦接続のモジュライ空間などの重要な可積分系への応用を考察する (3) 横断的楕円型作用素の指数理論およびBravermanによる摂動と、我々の同変指数の理論の違いをより内在的に理解する。 (4) 本年度定式化を与えた同変指数理論を、一般のトーラス作用に対するものに拡張する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究成果を積極的に発表していく。また、国内外の研究会にも積極的に参加し、関連する情報/知見を収集していく。
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Research Products
(6 results)