2012 Fiscal Year Research-status Report
交代結び目に沿った例外的デーン手術の完全分類に向けて
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23740061
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
市原 一裕 日本大学, 文理学部, 准教授 (00388357)
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Keywords | トポロジー / 3次元多様体論 / デーン手術 |
Research Abstract |
最終的な研究目的である「3次元球面内の交代結び目に沿った例外的デーン手術の完全分類」にむけて,当該年度に大きな進展を得ることができた.具体的には,まず研究計画・方法として設定した最初のステップ「ツイスト数が8以下の交代図式を許容する交代結び目の特徴付け」をコンピュータを利用して完全に決定した.これにより,最終目標である「交代結び目に沿った例外的デーン手術の分類」は,およそ3万個の絡み目に対しての例外的デーン手術の分類に帰着できることがわかった.これらの有限個の場合については,さらにコンピュータを利用することにより,最終目標達成に向けて研究を進めている. また関連する海外の著名な研究者(Ian Agol氏,Danny Calegari氏,Claig Hodgson氏)を招聘し,国際研究集会「Low-dimensional Geometry and Topology」を開催した.当該研究と関連する国際的な研究動向を把握し,当該研究に関する理解を深めた. 一方,研究課題に関連して,いくつかの結果を得ることができたので,下のように論文として発表した:「Exceptional surgeries on components of two-bridge links」では,双曲交代絡み目の中でも特徴的なクラスである二橋絡み目について,その二つの成分のうち一つの成分に沿った例外的デーン手術の完全分類を与えた. 「Cosmetic surgeries and non-orientable surfaces」ではS(49,19)型二橋結び目に沿ったデーン手術を研究し,特に,10/3-手術と-10/3-手術では異なる多様体が生成されることを,多様体に含まれる向き付け不可能曲面の種数に着目して証明した.これは有名な未解決問題である「コスメティック手術予想」に関する結果と捉えることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的「3次元球面内の双曲交代結び目に沿った例外的デーン手術の完全分類」に向けて,「研究実績の概要」欄で述べたように,着実に研究を進めることができている.また当該研究に関連して,海外著名研究者を招聘して国際研究集会を開催することもできた.さらに関連する研究,主には,3次元球面内の双曲結び目に沿った例外的デーン手術の研究について,いくつかの研究成果を得て,論文として発表できている.以上のことから,当該研究について,現在までの達成度は「おおむね順調である」と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究実施計画に沿って研究を推進していく予定である.ただし,昨年度までの当該研究の進捗状況,特に,コンピュータ援用研究をより積極的に進める状況を受けて,一部予定を変更する.具体的には,関連する研究者による研究成果(Moser, Harriet Proving a manifold to be hyperbolic once it has been approximated to be so. Algebr. Geom. Topol. 9 (2009), no. 1, 103-133.)を修正し,当該研究に適用する.この修正のため,精度保障付き数値計算の専門家に協力を依頼し,共同研究を進めていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況は,昨年度の研究者招聘の為の経費が様々な理由により,予定より小額で済んだ為であった.これとあわせた次年度の研究費の使用計画は,主に,コンピュータ援用研究のためのコンピュータ使用料,情報収集やこれまでに得られた研究成果の発表の為の研究集会への参加旅費,関連する研究者からの専門的知識の提供に関する謝金,および,海外からの研究者招聘の為に使用する予定である.特に,これまでに得られた研究成果,および,今後得られるであろう研究成果の発信の為,積極的に種々の研究集会/セミナーに参加していくことを計画している.
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Research Products
(5 results)