2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740063
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
新田 泰文 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (90581596)
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Keywords | GIT安定性 / 定スカラー曲率ケーラー計量 / 漸近的相対Chow-Mumford安定性 / 相対強K-安定性 / 端的ケーラー計量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、偏極射影代数多様体における種々のGIT-安定性の間の関係や諸性質について、特殊計量の存在問題の観点から明らかにすることである。本年度は、報告者と大阪大学の満渕俊樹氏との共同研究において導入した、偏極射影代数多様体の強K-安定性の基礎研究を行った。強K-安定性は、DonaldsonやTianのK-安定性よりも一般に強い安定性概念で、偏極代数多様体における特殊計量、特にextremal metricの存在問題の観点から導入されたものである。報告者は、この強K-安定性の理論的基礎付けに注力した。 また、我々は偏極射影代数多様体が「相対強K-安定ならその偏極類はextremal metricを含むであろう」という予想を考え、その予想に関わる基本的な問題として、偏極射影代数多様体における相対強K-安定性と漸近的相対Chow-Mumford安定性の関係について議論を行い、いくつかのimplicationを得た。それらの結果は、満渕俊樹氏との共著論文”Strong K-stability and asymptotic Chow-stability”として、プレプリントサーバーarXivにおいて確認することができる。 その研究成果を基にして、報告者は2014年2月に東京工業大学で開催された国際シンポジウム"第2回 日本スペイン幾何学研究集会"で"On K-stability and asymptotic Chow-stability of polarized algebraic manifolds"として研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対強K-安定性と漸近的相対Chow-Mumford安定性の関係についておおむね望ましい結果が得られたので。 強K-安定性の基礎的研究に大きな時間を割かざるを得なくなったことは反省材料である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き強K-安定性の研究を行い、特殊計量の存在問題にアプローチしたいと考えている。 他方、強K-安定性の具体的に計算可能な判定法の確立にも強い興味を持っている。 具体的には、例えばトーリックファノ多様体における相対強K-安定性の判定法を、Zhou-Zhuの方法をさらに推し進めることで得ることができるのではないかと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は8月に中国で開催された国際シンポジウム"The 8th Pacific Rim Complex Geometry Conference"に出張して、その参加者と議論を交わして最新の複素幾何学の研究動向を情報収集を行う予定だったのであるが、報告者の業務によって中止せざるを得なくなり、そのため未使用金が生じた。 次年度はこれまでの研究を継続するとともに、それまでに得られた研究成果の発信に努めたいと考えている。そのため、国内外で開催されるセミナーや研究集会に参加し、そこで研究発表を行うことで本研究内容の周知を図るつもりである。そのための研究旅費を次年度の研究費から充てたいと考えている。 また次年度も大阪大学の満渕俊樹氏との共同研究を継続するため、必要があれば大阪大学へ訪問し、満渕俊樹氏と研究打合せをする予定である。 その出張旅費も次年度の研究費から充てたいと思っている。
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Research Products
(7 results)