2012 Fiscal Year Research-status Report
非双曲力学系の不安定周期軌道解析に関する大規模数値解析
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23740065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊木 吉隆 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20433740)
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Keywords | 力学系 / 周期軌道 / 数値計算 / 非双曲系 / カオス / リアプノフ解析 |
Research Abstract |
双曲力学系(写像・微分方程式)の理解は Smale ならびにその周辺の研究者を中心におこなわれた1960年前後からの研究 によって記号力学系などを通じて, ある程度整備されている. 一方, 非双曲力学系の理解はあまり進んでおらず, 力学系分野においてその理解は大きな問題として認識されている. カオスを示す力学系(写像・微分方程式)には一般に無限個の周期軌道が埋め込まれていることが知られており、カオスが現れる様々な分野ではカオスと不安定周期軌道の対応関係が明らかになることが期待されている. 本研究課題では, よく調べられている離散時間力学系, 連続時間力学系であるエノン写像, ローレンツ系などに関して, パラメタを変えながら安定多様体, 不安定多様体の構造変化を周期軌道を用いて調べた. そして, それらの力学系に関し, パラメタ変化に伴う非双曲構造, 特に安定多様体と不安定多様体の接構造の発生は, サドルノード分岐のノード周期軌道が周期倍分岐するとともに生まれる不安定周期軌道の系列の極限で捉えられることを明らかにした. 特に, 周期軌道系列の安定多様体と不安定多様体がなす角度の減衰レートに一定の法則があることを見出した. 非双曲構造(多様体の接構造)がこの様に捉えられることの具体的な数値計算例を与えたという意味で重要な結果であると考えている. また, すでに数学的に双曲的, (特異) 双曲的であることが知られているパラメタからあるパラメタを動かしていった際に系がはじめて接構造をもつパラメタ値はカオス的な軌道に対するリアプノフベクトル計算によって推定できるが, そのパラメタ値は, 系に埋め込まれた不安定周期軌道を用いることによってより精密に得られることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、リアプノフベクトルを数値的に同定することによって系のパラメタ変化によって双曲構造が徐々に崩壊する過程を不安定周期軌道の観点で研究することが進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
不安定方向が2次元以上ある力学系について不安定周期軌道ならびにリアプノフベクトルを用いた研究をする予定である。この種の力学系は24年度までに扱ってきた不安定方向が1次元の力学系に比べて考え得る構造が多様であり、流体乱流やカオス遍歴をおこすダイナミクスの理解などにも繋がると考えられるため、興味深い。一方、不安定周期軌道の検出、リアプノフベクトルの同定とも、より困難さは増す。しかし、これまでに得た経験と知見を基にそれらの困難さは克服できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度分の一部研究費の支給が延期されたため、当初予定されていた研究打ち合わせのための出張が24年度にずれこみ、24年度に当初予定していた一部出張を25年度に行うことになっている。25年度には不安定周期軌道の統計について山田道夫氏(京都大学数理解析研究所)と京都大学にて、不安定周期軌道展開について寺本央氏、佐藤譲氏(北海道大学電子科学研究所)、荒井迅氏、横山知郎氏(北海道大学大学院理学研究院数学部門)らと北海道大学にて、リアプノフベクトルの同定に関して小林幹氏(東北大学AIMR)と東北大学にて、力学系の予測不可能性に関して中野直人氏(東北大学AIMR)と東北大学にて研究打ち合わせを行う予定である。また、不安定方向が2次元以上ある高次元力学系の計算をおこなうための計算機サーバーを用意する予定である。
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