2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740066
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
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Keywords | 高次元小標本データ / 高次元漸近理論 / 判別分析 / パスウェイ解析 / マイクロアレイデータ |
Research Abstract |
本研究の土台となる平成23年度の研究成果を踏まえて,より応用を意識した研究目的「高次元小標本(HDLSS)におけるパスウェイ解析と変数選択法の理論的構築」に取り組み,高速で頑健な手法である「拡張クロスデータ行列法(ECDM)」を開発し,パスウェイ解析に応用した. Yata and Aoshima (2010,JMA)で提案したクロスデータ行列法を漸近最適な組み合わせに基づき拡張し,HDLSSにおける各種パラメータの推定と検定に,計算コストを著しく削減し,かつ,漸近分散が小さい不偏推定量を与えるためのECDMを開発した.この手法により,母集団分布が非正規かつHDLSSの下で,漸近最適な各種パラメータの推定量を,Chen et al. (2010, JASA)等の先行研究に比べても高速に構築できることを示した.さらに,重相関係数の検定統計量の構築にもECDMを応用し,その検定統計量がHDLSSの枠組みで漸近正規性をもつことを示した.その漸近正規性に基づく重相関係数の多重検定を考え,FWERや検出力などに関して, 事前に設定された精度を理論的に保証するような,逐次解析を用いた新しい多重検定法を提案した.この多重検定法により,HDLSSの枠組みで精度保証を有するような変数選択法も提案した.これをパスウェイ解析に応用し,精度を保証した有意な遺伝子群の抽出が可能となり,実際のマイクロアレイデータを用いた実解析例において,提案手法が有効に機能することも確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる各種パラメータにおけるHDLSS漸近理論を構築し,本研究の土台を固めることができた.さらに,応用を意識したパスウェイ解析や判別分析,変数選択にもHDLSSならではの手法が提案できていることが,本研究が順調に進展している理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の土台となる平成23年度の研究成果とより応用を意識した平成24年度の研究成果を踏まえて,研究目的「HDLSSの判別分析とクラスター分析に関して統計的推測の構築」を推進する. 判別分析について,Aoshima and Yata (2011, SA)で構築したHDLSS漸近理論を拡張し,判別超平面に注意して,事前に設定された判別精度を有するような多群の判別手法を提案する.一方で,クラスター分析について,高次元データの分類にとって有効な潜在空間を導出し,データをその潜在空間へ射影することで分類を考える.この空間の推定には,Yata and Aoshima (2010,2012,JMA)で考案したノイズ掃き出し法とクロスデータ行列法を用いて推定し,HDLSS漸近理論を構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度出張は,3月にも実施した.その支払いが4月となったために生じたものであり,計画通り研究を実施している. 次年度は,国際学会1回と国内学会4回に出席し,研究課題に関する研究発表をおこなう予定である.そのための旅費と学会参加費に研究費を使用する.一方,研究遂行に必要となる高速計算が可能なデスクトップパソコンを1台購入する予定である.また,最先端の研究をおこなうために,数理統計学だけではなく医学・工学・生物学などの最新の統計科学関連の研究資料を購入する予定である.
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