2012 Fiscal Year Research-status Report
多品種流・施設配置・ネットワークデザインの理論とアルゴリズム
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23740068
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 広志 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (20378962)
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Keywords | 多品種流 / 施設配置問題 / ネットワークデザイン / メトリック |
Research Abstract |
本研究の主な目標であった最小ゼロ拡張問題の可解性分類に成功した.前年度見いだした「最小ゼロ拡張問題における離散凸性」にValued CSPの分野で得られた重要な結果(Thapper-Zivny, FOCS12)を組み合わせることによって,「向き付け可能モジュラーグラフ上の最小ゼロ拡張問題は多項式時間可解である」という決定的な結果を得た.Karzanovによる先行結果「向き付け可能モジュラーグラフでないグラフ上では最小ゼロ拡張問題はNP困難である」を合わせることにより,多項式時間可解性の分類が完成された.ここで用いた証明法は,離散凸解析,Valued CSP,そして離散距離空間論という異なる分野を結びつけるもので,新たな研究の方向性を示された.この結果を論文「Discrete Convexity and Polynomial Solvability in Minimum 0-extension Problems」に纏めた.この論文のextended abstractが国際会議ACM-SIAM Symposium on Discrete Algorithms (SODA'13)に採録された.その他にも,国内国外の会議でこの結果に関する招待講演を行った. 古典的なネットワークデザイン問題であるネットワーク合成問題について,60年代にGomoryとHuは,単純なグリーディアルゴリズムによって半整数の最小解が求まることを示しているが,この古典的な結果を,ある特殊な歪劣モジュラ関数による最小カバーリングに拡張した.これを論文「On Half-integrality of Network Synthesis Problem」に纏めた(タン グエン ハウ,土村展之との共著).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標であった最小ゼロ拡張問題の可解性分類に成功したこと,また,その解決方法が本研究課題が目指す「多品種流・施設配置・ネットワークデザインを統合する理論」への確かな具体的一歩であること.またネットワークデザインに関しては列生成単体法の実験評価がやや遅れているが,論文「On Half-integrality ...」を執筆するなど理論的には前進した.以上により順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
最小ゼロ拡張問題の可解性分類の解決に用いた手法は,向き付け可能モジュラーグラフ上にL凸関数の類似物を定義し,ゼロ拡張問題をL凸関数最小化とみなすというものである.この手法を数学的に洗練させることが第一の目標である.最小自由多品種流問題など多くのクラスの多品種流問題の双対問題がこの意味でL凸関数最小化となるので,このアプローチに基づくアルゴリズム構築を目指す.またValued CSPに対しても調査研究を行う.ネットワークデザインに対して,ハンガリー学派が中心になって発展させてきた連結度増大問題と枝スプリッティングの理論を調査研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度研究費の繰り越し分は,4月にMarseilleで開かれる会議Combinatorial Geometries: matroids, oriented matroids and applications (CG13)に参加するための渡航費のためである.その他,本年度の研究費の使用計画としては,国内・国外の学会に参加するための旅費や,研究に必要な図書の購入,論文執筆の補助のための文具・PC類・ソフトの購入がある.
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Research Products
(6 results)