2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740070
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
萩田 真理子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (70338218)
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Keywords | 分散彩色 / 暗号 / 符号 / 擬似乱数 / グラフ彩色 / 誤り訂正符号系列 / 彩色多項式 |
Research Abstract |
相互に関係の深い、以下の3種類の研究を行った。 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究。これらの暗号を評価するため、比較対象である標準暗号AESとrandの混ざり具合をさまざまな方法で統計的検定により評価し、その評価方法の妥当性についての検証を行った。 2:グラフの分散彩色についての研究。グラフの分散彩色問題とは、与えられた色数で、グラフの頂点を同色の異なる二点の距離の最小値が大きくなるように彩色する問題である。与えられたグラフの分散彩色の評価方法として、同色2頂点間の距離の最小値の大きな彩色、同色2頂点間の距離の逆数の和(以下これらを重みという)の小さな彩色を良い分散彩色として評価することとし、これらの重みが良い指標となるかの検討を進めた。また、グラフの分散彩色数をより深く知るために、一般の彩色数について知られている彩色多項式を分散彩色の場合に拡張し、特別な木やサイクルなどいくつかのグラフについて分散彩色多項式を計算した。 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究。誤り訂正系列符号はGF(q)の元の巡回系列で、そのk部分列の集合が符号となるものである。これまでにM系列と符号理論の両方の研究手法を用いて存在条件を求めている。有限体を生成するための原始既約多項式として、よく探されている3項式とは逆に、項数が半分くらいでバラバラに散らばっているものが必要になり、また随分昔に研究されていたド・ブライン系列が役立つなど、応用に適さないと思われていた離散数学が実用化に結びつきそうになっている。GF(2)上2個の誤りを訂正する場合についての研究を進め、1個の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持った系列が、必ずしも2個以上の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つとは限らないという結果を得ている。現在はGF(q)上で同様の研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体は順調に進展しているが、研究交流の機会が少なめであった。このため予算の執行額が少なめとなったが、その分今年度以降に積極的に研究発表の機会を持つようにしたいと考えている。 具体的には、研究実績の概要に記載した関連する3種類の研究のうち、 2:グラフの分散彩色についての研究では、分散彩色アルゴリズムの評価方法として、同色2頂点間の距離の最小値の大きな彩色、同色2頂点間の距離の逆数の和の小さな彩色を良い分散彩色と定義し、これらの評価方法が実際に目的に合っているか、どちらの重みが良い指標となるかの検討を進めた。ここまでが当初の計画通りであるが、24年度にはさらに、分散彩色多項式を定義していくつかのグラフについて求めてみたことで、より深く状況を理解することができ、当初の計画以上に進展している。今後はこれらの評価方法や分散彩色多項式についての結果をまとめて成果発表するとともに、具体的なアルゴリズムの評価、改良、分散彩色の存在条件についての研究を進めたい。 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究も当初の計画以上に進展し、2個の誤りを訂正するGF(2)上の誤り訂正符号系列については、1個の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持った系列が、必ずしも2個以上の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つとは限らないという面白い結果が得られた。より一般にGF(q)上での同様の結果が得られると期待している。 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究では、比較対象である標準暗号AESやrandの混ざり具合をさまざまな方法で統計的検定により評価した。いくつかの変換を繰り返し施して暗号化する場合には、変換の種類や回数を減らして混ざり具合を計ることで変換の乱数性を評価できることが確認されたが、目標の暗号での結果に結び付けるにはもう少し研究を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
相互に関係の深い、以下の3種類の研究を引き続き進める。 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究では、これまでに比較対象である標準暗号AESとrandの混ざり具合を、偏りのある集合の変換先の集合の偏りを統計的検定で調べるなど、いくつかの方法で評価した。何種類かの変換を繰り返し施して暗号化する場合には、変換の種類や回数を減らして混ざり具合を計ることで変換の乱数性を評価できることが確認された。また、検定に用いる擬似乱数の長さと周期の相関について調べた。今後は目標の暗号と、関連する新しい暗号アルゴリズムについて、同様の手法で乱数性を評価することで比較し、また提案した暗号アルゴリズムの改良を行っていきたい。 2:グラフの分散彩色についての研究では、分散彩色アルゴリズムについての評価方法として、計算量や計算空間の他に、同色2頂点間の距離の最小値の大きな彩色、同色2頂点間の距離(または距離の2乗、距離の1/2乗)の逆数の和の小さな彩色を良い分散彩色として、評価することとし、これらの評価方法が実際に目的に合っているか、どちらの重みが良い指標となるかの検討を進めた。さらに、分散彩色多項式を定義していくつかのグラフについて具体的に計算することができた。今後はより一般的なグラフの分散彩色多項式を調べるとともに、具体的なアルゴリズムの評価、改良、分散彩色の存在条件についての研究を進めたい。 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究では、GF(2)上の2個の誤りを訂正する場合についての研究を進め、1個の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持った系列が、必ずしも2個以上の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つとは限らないという結果を得た。GF(q)上でも同様の手法で状況を調べ、2個以上の誤りを訂正する誤り訂正符号系列の存在条件と構成法についての研究を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を円滑に進めるために、計算機を最新のものに更新する。また、これまでに得られた研究成果と、今後得られる結果を国内外の研究集会で発表するための海外出張旅費、国内旅費が必要となる。また、研究結果を整理するための研究補助を依頼したいと考えていて謝金を多めに必要としている。
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Research Products
(4 results)