2013 Fiscal Year Research-status Report
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23740070
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
萩田 真理子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (70338218)
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Keywords | 分散彩色 / 彩色多項式 / グラフ彩色 / 暗号 / 符号 / 擬似乱数 / 誤り訂正符号系列 |
Research Abstract |
相互に関係の深い、以下の3種類の研究を行った。 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究。 標準暗号AESを外付けで、既に特許化している「通信を必要としない鍵更新方法」を用いて強化するサンプルアルゴリズムを作成し、その混ざり具合がどの程度強化されるか統計的検定により評価し、妥当性についての検証を行い、得られた結果について2013年12月に行われた応用数学合同研究集会で発表した。 2:グラフの分散彩色についての研究。グラフの分散彩色問題とは、与えられた色数で、グラフの頂点を同色の異なる二点の距離の最小値が大きくなるように彩色する問題である。一般の彩色数について知られている彩色多項式を分散彩色の場合に拡張し、特別な木やサイクルなどいくつかのグラフについて分散彩色多項式の計算を進め、得られた結果について2014年1月に組合せ数学セミナー(COMAゼミ)で、2014年3月に応用数理学会研究部会連合発表会で発表した。 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究。誤り訂正系列符号はGF(q)の元の巡回系列で、そのk部分列の集合が符号となるものである。これまでにM系列と符号理論の両方の研究手法を用いて存在条件を求めている。有限体を生成するための原始既約多項式として、よく探されている3項式とは逆に、項数が半分くらいでバラバラに散らばっているものが必要になり、また随分昔に研究されていたド・ブライン系列が役立つなど、応用に適さないと思われていた離散数学が実用化に結びつきそうになっている。GF(2)上2個の誤りを訂正する場合についての研究を進め、1個の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持った系列が、必ずしも2個以上の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つとは限らないという結果を得ている。現在はGF(q)上で同様の研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体は順調に進展しているが、申請時に想定していたよりも講義期間中に出張する余裕がなくなったために、研究交流の機会が少なめであった。このため予算の執行額が少なめとなった。その分を今年度に繰り越して、積極的に研究発表の機会を持つようにしたいと考えている。 具体的には、研究実績の概要に記載した関連する3種類の研究のうち、 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究では、前年度までに比較対象である標準暗号AESやrandの混ざり具合をさまざまな方法で統計的検定により評価して、いくつかの変換を繰り返し施して暗号化する場合には、変換の種類や回数を減らして混ざり具合を計ることで変換の乱数性を評価できることが確認できた。25年度は既に特許化されている「通信を必要としない暗号鍵更新方法」を用いてAESを強化するサンプルアルゴリズムを作成し、その混ざり具合がどの程度強化されるか統計的検定により評価し、妥当性についての検証を行うことができた。 2:グラフの分散彩色についての研究では、分散彩色アルゴリズムの評価方法として、同色2頂点間の距離の最小値の大きな彩色、同色2頂点間の距離の逆数の和の小さな彩色を良い分散彩色と定義し、これらの評価方法が実際に目的に合っているか、どちらの重みが 良い指標となるかの検討を進めた。さらに、分散彩色多項式を定義していくつかのグラフについて求めてみたことで、より深く状況を理解することができ、当初の計画以上に進展している。 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究も当初の計画以上に進展し、2個の誤りを訂正するGF(2)上の誤り訂正符号系列については、1個の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持った系列が、必ずしも2個以上の誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つとは限らないという結果が得られた。より一般にGF(q)上での研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の3種類の研究をさらに進めるとともに、これまでの研究成果を発表することに力を入れたいと考えている。 1:既に特許出願している暗号アルゴリズムの評価・改良を行うための研究 2:グラフの分散彩色についての研究 3:誤り訂正系列符号の存在性についての研究 特に、1については、比較対象である標準暗号AESやrandの混ざり具合をさまざまな方法で統計的検定により評価して、いくつかの変換を繰り返し施して暗号化する場合には、変換の種類や回数を減らして混ざり具合を計ることで変換の乱数性を評価できることが確認できたことに加えて、通信を必要としない暗号鍵更新方法を用いてAESを強化するサンプルアルゴリズムを作成し、その混ざり具合がどの程度強化されるか統計的検定により評価し、妥当性についての検証を行うことができた。同じ方法をより適した状況で用いる効率の良い暗号化方法の検討を進めたいと考えている。2については、分散彩色多項式についての研究が上手く進んでいるので、一般化してまとめたいと考えている。3についてはGF(2)上で非常に良い成果が得られたので、GF(q)上に、また最小距離を増やした場合についての研究を進めたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に、東日本大震災への対応で講義期間が変更になったことに伴い、研究自体は順調に進み当初の期待通りの成果を得られているものの、予定していた海外出張などができない状態になり、成果発表のための予算を繰り越し、その後も研究発表と研究交流の機会が十分に得られず旅費相当額の繰り越しが続いてきました。研究の過程でさらに良い研究成果も得られているので、それらも追加して次年度に本研究課題の成果を発表したいと考えています。 研究成果の発表のための旅費と学会参加費、発表論文の執筆に必要となる文献調査のための書籍代、資料の印刷代、研究補助者への謝金として使用します。
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Research Products
(5 results)