2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740073
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢野 裕子 京都産業大学, 理学部, 准教授 (10337462)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 確率論 / 確率過程論 / マルコフ過程 / 拡散過程 / 加法過程 / 極限定理 / 一般化逆正弦法則 / 処罰問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルコフ過程,特に一次元拡散過程及び一次元加法過程に対する汎関数に関連した極限定理を通して,確率過程の構造を明らかにすることを目的としている. 1.矢野孝次氏(京都大学)との共同研究において,一次元拡散過程に対する原点回避条件付けの問題を考察した.修正零レゾルベント及びスケール関数の原点消滅過程に対する調和性を調べ,零再帰的もしくは過渡的な場合は不変,正再帰的な場合は超過的であるという結論を得た.フェラーの境界分類に加えて自然境界の場合を更に三通りに分類し,その場合分けに従ってレゾルベントの計算を遂行した.以上を纏めた論文を投稿し,Seminaire de Probabilitesに掲載が決定した.また概要を統計数理研究所共同研究リポートに寄稿し,掲載された. 2.矢野孝次氏(京都大学)及びChristophe Profeta氏(フランス・イヴリ=ヴァル=デソンヌ大学)との共同研究において,一次元拡散過程に対する処罰問題の研究を行った.これまでの処罰問題では固定時刻に対する時間無限大極限を考察していたが,極限の議論において確率過程の自己相似性に頼らざるを得ず,ブラウン運動,ベッセル過程,安定過程に対する結果が知られるのみであった.本研究では,固定時刻の代わりに指数時刻,到達時刻,逆局所時間を用いた処罰問題を考察し,上述の1.で調べた場合分けを駆使することにより,一部を除いて一般論の構築に成功した.以上を纏めた論文を執筆中である.また概要を確率論シンポジウム報告集として京都大学数理解析研究所講究録に寄稿し,掲載される予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原点回避条件付けの問題の研究が順調に進み,興味深い結果が得られている.また処罰問題の研究においても興味深い結果が得られており,研究は概ね順調に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
1.一次元拡散過程に対する他の様々なランダム時刻による処罰問題の考察.更にレヴィ過程に対する同様の問題の考察. 2.拡散過程及び加法過程の滞在時間に関する処罰問題の考察. 3.測度集中現象への,拡散過程の滞在時間に関する極限定理からのアプローチ.
|
Causes of Carryover |
研究費の繰り越しは,妊娠し,妊娠悪阻及び切迫流産等により遠方の出張(特に外国出張)を控え,出張旅費が少額になったためである.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した研究費は,次年度の出張旅費及び関連研究者招聘旅費,また書籍等の物品購入費として使用予定である.
|