2012 Fiscal Year Research-status Report
飛躍型確率過程に対するマリアヴァン解析と密度関数についての研究
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23740083
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
竹内 敦司 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30336755)
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Keywords | マリアヴァン解析 / ジャンプ過程 / 確率微分方程式 / 確率関数微分方程式 / 密度関数 |
Research Abstract |
平成24年度は、交付申請書の「研究実施計画」に基づいて、ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の新たな枠組み構築に向けた研究を主に行った。駆動過程であるレヴィ過程を複合ポアソン過程で近似し、その近似過程に対して誤差項を伴った部分積分公式を導出、さらには極限操作を経由することで、レヴィ汎関数に対する部分積分公式を導き出すことに成功した。このことは、それまで駆動レヴィ過程の特殊性に応じて理論展開されていた「ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析」を、統一的かつ一般的に扱うことを可能とするものであり、大変意義深いものである。 また、確率関数微分方程式の解について、密度関数の漸近的な性質を、ウィーナー空間上のマリアヴァン解析の立場から解析した。解過程に対する大偏差原理は、より広範囲な方程式のクラスでの適用を可能とし、それを用いることによって、拡散過程に対するヴァラダン型評価に類似した、密度関数の漸近評価を得ることに成功した。この研究結果を、各大学で行われているセミナーや研究集会にて研究発表を行った。2013年3月にオーストラリア・メルボルン大学で開催された「確率論とその応用に関する研究集会」にて招待講演を行い、多くの研究者たちとディスカッションすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガンマ過程を駆動過程とした確率微分方程式に対する密度関数の正値性、ガンマ過程に付随するファイナンスモデルに関するグリーク計算は、ガンマ過程の特性を生かした形での理論展開であり、交付申請書に記載した「研究の目的」に従って進んでいるものである。さらにそこから、現在進行中の研究対象である、ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の新たな枠組み構築の研究につながっていくことが大いに期待されるものである。 また交付申請書の「研究の目的」にも挙げたように、確率関数微分方程式に対する密度関数の漸近的な性質の研究も精力的に行っている。確率関数微分方程式の解は非マルコフ過程を定め、解析的な手法の適用が期待できない。しかし、マリアヴァン解析と大偏差原理を用いることにより、その漸近挙動の解析が可能である。さらなる諸性質の解明に向けて、順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究を継続推進し、ジャンプ過程に対するマリアヴァン解析の新たな枠組み構築およびその応用に対して、今後は重点的に力を注ぎたいと考えている。また、レヴィ過程に対する大偏差原理を経由して、そこから駆動される確率過程に対する密度関数の漸近挙動を調べたいとも考えている。その際、前述のマリアヴァン解析の新たな枠組みの議論が有効に働けば、大変興味深いと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成25年度)使用額が21,383円生じているが、これは直接経費の旅費に繰り入れて使用する予定である。研究環境のより一層の充実化を図るため、関連分野の図書購入およびコンピューター関連機器の購入のための費用(物品費)として、研究費補助金(直接経費)の約25%を使用する。 また、7月下旬にアメリカ・ボルダーで開催される「第36回確率過程をその応用に関する国際研究集会」、9月上旬に投稿で開催される「漸近統計と関連するトピックスに関する研究集会」において、それぞれ研究発表を行う予定である。また、国内で開催予定の研究集会、セミナー等に積極的に参加し、その場を借りて研究発表も行う。それらの機会を通じて、多くの研究者たちとディスカッションを行う。それは今後の研究を大きく進展させるためには必要なものである。その際に必要となる費用(旅費および人件費、謝金)として、研究費補助金(直接経費)の約75%を使用する。
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Research Products
(6 results)