2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740087
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
千葉 周也 東京理科大学, 理学部, 助教 (80579764)
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Keywords | 星グラフ / 点素 / 部分グラフ / 分割 / サイクル / Erdos型条件 / Fan型条件 |
Research Abstract |
23年度に引き続き、24年度中も、星グラフ、及び、他のグラフが点素に存在するための十分条件について研究を行った。より具体的には以下のことを行い、研究成果を得た。 1.23年度中に得た研究成果である「十分に大きい星グラフが存在するためのErdos型条件」の証明法をさらに詳しく解析することで、より広い範囲の星グラフに対する条件を得ることができた。現在の研究方法は星グラフを一つ一つ固定することで、その構造を個々に調べていくというものなので、最終目標である一般の星グラフに対する条件を得るまでには至らなかったが、統一的な証明法を模索するための一つの手段であるため、十分満足すべき結果が得られた。 2.星グラフと他のグラフとの間の関係性を調べるために以下の二つの研究を行った。 (1)「グラフを点素なサイクルで分割するためのFan型条件」に着目し、「分割」の部分を「指定した頂点を全て通る」というより一般的なものに置き換えた場合について研究を行い、従来のものを含む結果を得ることに成功した。その結果、点素なサイクルに関しては「指定した頂点を通る」という条件付きについても相性が良いことが示された。この研究成果を基に星グラフの場合ついて考察することで、本研究の進展へと繋がると考えられる。 (2)「キュービックグラフ」と呼ばれる特定の構造をしたグラフに着目し、そのグラフ上の点素な長いサイクルの存在性等について考察し、そのグラフを基に「サイクル被覆」に関するKaiser-Skrekovski予想の反例を与えることに成功した。この研究成果は、ある問題にアプローチする際に、別のグラフの構造を調べることが重要になる可能性を示唆しているので、本研究課題の最終目標にアプローチするための別のグラフを見つけ出すことも有用な方策の一つになり得ることが分かった。 以上が本年度において得た研究成果の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究計画」で述べたように、24年度中の研究内容は、本研究の本質的な部分である「十分に大きい星グラフが点素に存在するためのErdos型条件」についての考察、及び、23年度中に得られた結果と合わせて、論文としてまとめあげることであった。実際、24年度中にこれまでの研究成果をおおむね論文としてまとめあげることができたので、計画通りに研究が遂行されていると考えられる。また、「研究実績の概要」でも述べたように、現在までに得た研究成果の証明法をさらに詳しく解析することで、特定の星グラフに対する最良なErdos型条件を得ることもできたので、最終目標である一般の星グラフに対するErdos型条件に近づいていると考えられる。さらに、星グラフとはある意味で対極の位置にある「サイクル」と呼ばれるグラフとの間の関係性を調べることで、いくつかの有用な結果を得ることもできたので、これらのことを考慮すると、順調に研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度中にまとめあげた論文の最終調整を行い、論文の投稿を行う。残っている問題については、現在得られた結果の証明法をさらに解析し、統一的な証明法を模索することでその研究を進める。また、本研究を順調に進めるためにも、これまで同様、国内・国際会議、セミナー等に積極的に参加し、現在までの研究成果について発表することで、他研究者との情報交換を図り、研究の問題点・研究方針について議論する予定である。さらに、星グラフと他のグラフとの間の関係性の解析についても引き続き行う。より具体的には、星グラフの存在性に対する条件と他のグラフを考えた場合の条件との間の差について考察を行う。このように新たな研究方針も探りながら、本研究の最終目標の達成に努めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度と同様に、24年度中の研究を順調に進めることができた大きな理由の一つが「他研究者との情報交換」である。国内・国際会議、セミナー等への参加を積極的に行うことで、現在の研究成果を得ることに成功したので、この方策は最も有用な方策のうちの一つであると考えられる。従って、本研究の最終目標を達成するために、次年度でも引き続き他研究者との情報交換を図る予定である。従って、それらに関する出費は不可欠であるので、これまで同様、研究費の一部を旅費として使用していく。また、より多くの知識や情報を集めるためにも、離散数学・グラフ理論、及び、他の数学関連の専門書が必要であるため、それらに関する出費もまた不可欠である。従って、研究費の一部を専門書購入にも使用していく予定である。さらには、論文の執筆・修正・確認、研究成果発表資料作成等のために、文具、コンピュータ関連商品(Office、Acrobat、USBメモリ等)が必要なため、その費用としても研究費を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)