2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740088
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
夏井 利恵 日本女子大学, 理学部, 講師 (60398633)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / 測度論的数論 / ユークリッドアルゴリズム |
Research Abstract |
当該年度は、数の持つランダム性についてエルゴード理論から新たな解釈を発見することに焦点を当て、具体的な数論的変換から数の振舞いを探った。研究計画に従って推進した研究は以下の通りである。[1]「形式的べき級数に対するユークリッドアルゴリズム(EA)のエルゴード理論的考察」 非アルキメデス数体上でEAの議論を行い、新たな解釈をエルゴード理論と測度論的数論から与えることを試みた。特に、Farey mapの創出を効果的に用いながらcost functionの評価を行った。本研究はフランス出張等によりV.Berthe, H.Nakadaとの共同研究として効果的に推進した。今後、本成果を基に高次元化へと発展させ、fibred systemの研究への足掛かりになった意味でも大きな研究成果と言える。[2]「標数正理論の中でのpolynomial group actionの創出とそのエルゴード理論的考察」 形式的べき級数上でpolynomial group actionの創出を試みamenable group action等に対して成り立つエルゴード理論的性質を追った。ここでは数論的対象にエルゴード理論的研究を導入し、数の振舞いをエルゴード理論的観点から捉える。韓国出張等によりDH.Kimと研究討論を重ねながら今後も共同研究として推進、継続する。[3]「α-Rosen 連分数に対するエルゴード理論と測度論的数論からの研究」 本研究はC. Kraaikamp, T.Schmidt等と研究連携を取りながら推進して行く。α-連分数のLegendre constantに関する本申請者の研究成果が雑誌に発表されたことにより、ここでのアイデアをα-Rosen連分数に応用することで今後の研究の進展が期待され、数の持つランダム性をより的確に捉えて行く足掛かりとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の当該年度における研究業績の通り、申請者自身の研究は進展しているが、当初、申請時に開催を予定していた、8月の日韓中国際研究集会と12月のエルゴード理論の国際研究集会が、東日本大震災の影響で開催を延期しなければならなかったことと当該年度前半に研究集会への参加や海外出張を予定通りに遂行出来なかったことが非常に残念であった。その意味において、(2)を自己点検評価とした。尚、日韓中国際研究集会は平成25年度に、エルゴード理論国際研究集会は平成24年度の開催を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を効果的に推進して行く為には、積極的な研究集会への参加や共同研究者、研究協力者との活発な研究討論や共同研究を行う為の海外・国内への出張が必要不可欠である。そこで、活発な研究活動を行いうことに重点を置き、様々な情報収集や研究討論から研究を推進して行く計画である。特に、海外出張に関しては、韓国(ソウル)、フランス(パリ)、オランダ(デルフト)、アメリカ(オレゴン)等を計画している。 また、本申請者自身の研究活動だけでなく、研究集会を中心的に開催することにより、エルゴード理論とその周辺分野の研究を盛り上げて行きたいと考えている。そこで、海外研究者を招聘したエルゴード理論の国際研究集会を開催することを計画している。このことにより、より多くの研究者との交流を通して、本申請者の研究の進展を期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の当該研究費が生じた状況は、東日本大震災の影響で、当該年度に開催を予定していた日韓中国際研究集会とエルゴード理論の国際研究集会を延期しなければならなかった為、また、同理由で、特に当該年度前半で研究集会への参加や海外出張などが当初の計画通り遂行出来なかった為である。この状況を受けて、次年度は、まず延期したエルゴード理論の国際研究集会を12月に本申請者の大学にて開催予定であり、繰越分をこの開催費に充当予定である。同様に、当該年度に遂行出来なかっか研究集会への積極的な参加や海外研究者との共同研究等を目的とした海外出張や招聘費に充当する予定である。更に、次年度に請求予定の研究費は当初の計画通り活発な研究活動を行い、効果的に研究を推進する為に国内外の旅費を中心に使用予定である。すでに、6月に京都大学で開催予定の国際研究集会ではorganizerとし出席予定である。
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Research Products
(1 results)