2011 Fiscal Year Research-status Report
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23740090
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野津 裕史 早稲田大学, 高等研究所, 講師 (00588783)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 特性曲線法 / 並列計算 |
Research Abstract |
本年度の成果の一つは,時間2次精度の特性曲線有限差分スキームを提案し,離散L2理論を構築したことです.特性曲線有限要素法では合成関数が現れるが,その合成関数は各三角形要素上において滑らかではないために,その積分を計算機上で厳密に再現することは困難です.これにより,実計算での数値積分に注意が必要であることが報告されています. 開発したスキームは有限差分法を用いるため,積分は不要です.よって,理論と実計算が完全に一致します.特性曲線法に基づくスキームの利点,すなわち連立一次方程式の係数行列の対称性,を維持しているため,その求解は高速です.また,時間2次精度の実現には,Rui-Tabata[2002, Numerische Mathematik] の結果を参考にして,通常のCrank-Nicolson法を時空間移動する特性曲線に沿ったものに拡張しています.解析には離散的なL2理論を用いており,最大値原理が成り立たない問題を意識したものとなっています.同理論を展開してスキームの安定性・収束性を示して,数学的に正当化しました.既に開発した安定化特性曲線有限要素法,野津-田端[2008, 日本応用数理学会論文誌], Notsu[2008, Trans. JSCES], は3次元問題を意識した,流速・圧力ともに四面体1次要素を用いたスキームです.同スキームを基礎として,熱対流問題の計算スキームを開発しました.開発したスキームは流速・圧力・温度全てに四面体1次要素を利用したスキームであり,3次元問題に有用です.同問題に現れる2つの物質微分項を,ともに特性曲線法を用いて離散化することにより,スキームは対称となっており,かつ計算負荷は半減しています.実際に2,3次元問題の数値計算を行い,有用性を確認しました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,高品質特性曲線有限要素法を構築することです.その達成は,(1)理論解析,(2)並列計算,(3)応用問題への適用,の3つからなります.このうち,研究業績の概要に記したように(1)(3)について順調に結果が得られています.(2)については現在準備中ですが,本年度以降に結果が得られる予定です.以上の理由から,「おおむね順調に進展している」と考えました.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,特性曲線有限要素法を更に発展させるために(I)数学解析,およびその高精度化(II)大規模高速並列計算法の確立(III)応用問題への適用,に取り組みます.本年度は特に(i)安定性・収束性の数学解析,(ii)OpenMPやMPIを用いた領域分割法の適用に注力します.(i)の理論解析については,Süli[1988, Numerische Mathematik]による標準的な関数空間設定における結果を参考に解析を進めます.(ii)については,昨年度の準備を基に,まずは移流拡散方程式から始めて並列計算による結果を示します.得られた研究成果を適宜国内外の学会において報告します.昨年度得られた特性曲線法に関する結果を活かし,工夫を施しながら研究を推進します.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
より大規模な計算を実現するために,計算機環境の拡張を行う予定です.また,得られた成果を国内外の研究集会において報告するための旅費として使用する予定です.
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Research Products
(21 results)