2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740090
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野津 裕史 早稲田大学, 高等研究所, 講師 (00588783)
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Keywords | 特性曲線法 / 有限要素法 / 安定性 / 収束性 |
Research Abstract |
今年度の成果は大きく2つあります.一つは,昨年度行った時間2次精度の特性曲線有限差分スキームの数学解析をより精査してまとめました.特性曲線有限要素法では合成関数が現れますが,滑らかでないためにその積分を計算機上で厳密に再現することは困難であり,数値積分に注意が要することが報告されています.これに対し,開発した特性曲線有限差分法では積分は不要で,理論と実計算が完全に一致します.特性曲線法に基づくスキームの利点「連立一次方程式の係数行列の対称性」を維持しているため,その求解は高速です.また,時空間移動する特性曲線に沿ったCrank-Nicolson法により時間2次精度を実現しています.解析には離散的L2理論を用いており,流れ問題などの最大値原理が成り立たない問題を意識しています.同理論を展開してスキームの安定性・収束性を示して,数学的に正当化しました. 他方は,Oseen(線形化Navier-Stokes)方程式のための圧力安定化特性曲線有限要素スキームを開発し,その安定性および誤差評価を行いました.数値計算スキームの評価に現れる正定数を精査して,Reynolds数への依存性を明らかにしました.すなわち,流速のL2ノルムの値は,Reynolds数に無関係に安定であることを示しました.よってReynolds数が無限大の場合でも成り立つことを明らかにしました.誤差解析を行い,数値解の厳密解への収束性とそのオーダーを示しました.すなわち,計算メッシュサイズをh,時間刻み幅をdtとして,数値解は必ず厳密解にO(dt+h)で近づくことを示しました.流速・圧力ともに四面体1次要素を用いるスキームであり,3次元問題でも自由度を比較的少なく抑えることが可能です.実際に3次元問題の数値計算を行って有用性を確認しました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,高品質特性曲線有限要素法を構築することです.その達成は(1)理論解析,(2)並列計算,(3)応用問題への適用,の3つからなります.このうち,研究実績の概要に記したように昨年度は(1)について強力に推進しました.(3)については初年度にすでに適用しており,(2)についても順調に進行中です.以上の理由から,「おおむね順調に進展している」と考えました.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,高品質特性曲線有限要素法を構築するために,(1)数学解析,(2)大規模高速並列計算法の確立(3)応用問題への適用,に取り組みます.特に(1)について,Navier-Stokes方程式のための圧力安定化特性曲線有限要素スキームの安定性および収束性を示します.また,(2)について領域分割を導入します.そして,得られた研究成果を適宜国内外の学会において報告します.昨年度の結果を発展させ,また,工夫を施しなが ら研究を推進します.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大規模数値計算を実現するために,計算機環境の拡張を行う予定です.また,得られた成果を国内外の研究集会において報告するための旅費として使用する予定です.
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Research Products
(15 results)