2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740093
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井手 勇介 神奈川大学, 工学部, 助教 (70553999)
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Keywords | 量子ウォーク / graph Laplacian / 直交多項式 |
Research Abstract |
ランダムでないグラフ上の量子過程の研究として行った,glued tree(根つき有限d-分木の葉をランダムにつなぎ合わせたグラフ)上の離散時間量子ウォークの解析に関する,今野紀雄氏(横浜国立大学)・瀬川悦生氏(東北大学)・Xin-Ping Xu 氏(蘇州大学:中国)との共著論文が, Entropy 誌に採録された.また,Xin-Ping Xu 氏・ Xiao-Kun Zhang 氏(蘇州大学)・今野紀雄氏(横浜国立大学)との共同研究として行った,パス(有限個に頂点を制限した一次元格子)上の離散時間量子ウォークの解析に関する論文がAnnals of Physics 誌に採録された.両者共に,時間発展作用素の固有空間解析において第二種チェビシェフ多項式と呼ばれる直交多項式が重要な役割を果たしており,前者では出発点への再帰確率が頂点数を無限大にする極限で正の値に留まる現象(出発点への局在化)が証明され,後者では,時間発展作用素を定義する際に使用するコインの種類によって,頂点数を無限大にする極限での確率分布に差異が生じることを論じた. 一方,ランダムなグラフ上の量子過程に関わる研究として,研究対象としているランダムなグラフである,しきい値モデルを含む有限グラフのクラスに対して有効な,時間発展作用素を定義する際に用いられるgraph Laplacian の分解方法を提案することにより,他の全ての頂点と繋がっている頂点から出発する量子ウォークは必ず局在化を起こすことを示した.この結果に関して,2013年6月19日に九州大学にて行われた「量子ウォーク数理の新展開: 物質制御への応用」にて,2014年1月17日に米国・ボルチモアにて行われた米国数学会のスペシャルセッションにてそれぞれ口頭発表(招待講演)した.
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