2012 Fiscal Year Research-status Report
作用素構成因子の持つ函数論的性質を用いたチェザロ型積分作用素の解析
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23740100
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
植木 誠一郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (70512408)
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Keywords | Bergman空間 / Fock空間 / 合成作用素 / チェザロ型積分作用素 / ヴォルテラ型積分作用素 |
Research Abstract |
チェザロ型積分作用素が単位円板上のBergman空間からZygmund空間へ作用する場合の作用素ノルムと本質ノルムを積分作用素を構成する正則関数uとgの挙動により評価する研究を行った。値域がZygmund空間の場合の積分作用素の研究、特に作用素の本質ノルム評価不等式に関する研究は十分になされておらず、高階微分作用によるSobolevノルムの応用には絶対に必要な研究である。これらの評価不等式により、重み付きBloch空間に属する作用素構成因子がこの場合のチェザロ型積分作用素の性質を特徴付けることがわかった。 Bekolle条件を満たす連続関数を重み関数とするBergman空間上の合成作用素の有界性およびコンパクト性を作用素構成因子である正則関数の持つ函数論的な性質で特徴付ける研究を行った。この種の研究では正則関数の函数論的性質がどのように作用素の性質に影響するかを調べることが主題である。本研究では、J.H.ShapiroやW.Smithの研究手法に倣って正則関数と重み関数から構成されるNevanlinnaの個数関数を新たに導入し、この個数関数と重み関数の境界挙動を用いて合成作用素の有界性・コンパクト性が特徴付けられることを明らかにした。 Bergman空間の定義域として全平面を採用するFock空間に対して、微分作用を用いたSobolevノルムとの同値性とFock空間の関数を高階微分作用による特徴付ける研究を行った。同値ノルムの導入は、標準ノルムによる解析が難しい場合に有用な手段であり、積分作用素を解析する際にはSovolevノルムが必要不可欠である。この研究により、Fock空間上のチェザロ型積分作用素の挙動が解明され、特にヴォルテラ型積分作用素が高々2次の正則な多項式からでのみ構成されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bekolle重み関数によるBergman空間上の合成作用素の解析のための道具として、解析関数Φ(z)-wの零点分布と重み関数から一般化されたNevanlinnaの個数関数の導入に成功し、Bergman空間のノルムに対する変数変換の公式が得られた。この公式の応用として合成作用素の本質ノルム評価、そして有界性およびコンパクト性の特徴付けが個数関数とある意味で修正された重み関数との境界における挙動により得られることがわかった。 1変数Fock空間上でチェザロ型積分作用素の解析を行うのに必要な微分作用を用いる Sobolevノルムの導出と高階導関数によるFock空間の特徴付けが確立できた。これらの同値ノルム不等式を用いて、チェザロ型積分作用素の性質を特徴付ける条件を作用素を構成する整関数uとgの無限遠点での挙動により記述できることを明らかにできた。さらに、Fock空間上のヴォルテラ型積分作用素を構成する作用素因子が完全に決定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Bergman空間上のチェザロ型積分作用素についてはBekolle重み関数とBergman核関数の解析、ノルム評価不等式の検証を行い、Bekolle重み関数のBergman空間へのBerezin型変換の導入を目指し、このBerezin型変換の挙動による積分作用素の特徴付けと本質ノルム評価不等式の確立を目指す。 次に、Fock空間におけるSobolevノルムの様な同値ノルム評価不等式および高階微分作用による特徴付けの多変数版を考察する。そして多変数におけるFock空間上のチェザロ型およびヴォルテラ型積分作用素がどのような整関数により導入されるのかを整関数の挙動を通して解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入、特に図書購入の際において概算金額(事前の価格調査の金額)と清算金額(実際の販売価格)の違いにより次年度使用額が生じたと思われる。研究遅延等の研究計画変更の必要性が生じているわけではない。次年度使用額は約1万8千円であるので、次年度の物品費と合算して研究推進に必要な解析関数空間論に関係する図書の購入、消耗品の購入費として使用する。
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Research Products
(3 results)