2011 Fiscal Year Research-status Report
線形及び非線形ヘルムホルツ型方程式の漸近解析と逆解析
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23740104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邊 道之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90374181)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 解析学 / 関数方程式論 / 数理物理 / 逆問題 |
Research Abstract |
1.研究成果の内容:地震波のモデル方程式である半空間における弾性波動方程式の解の特徴づけについて,「定常的方法」により研究した.地震波には,縦波,横波があることが知られている.これらの波が境界で反射すると,反射波が複雑に伝播する.今年度の研究では,定常弾性波動方程式の空間遠方における解の挙動を,振動積分の漸近解析を用いて,詳細に計算した.具体的には,外向き解と内向き解の漸近展開の主要部を,境界近傍と臨界角近傍を含む形で与えた.2.意義:今年度の研究で得た計算結果により,縦波,横波の反射波の複雑な振る舞いを,とくに臨界角近傍での振る舞いを詳しく解析することができる.このことにより,複雑な弾性波の伝播が詳細にわかる.半空間における弾性波には,横波と縦波がカップリングして表面を伝播する表面波が存在することが知られている.縦波,横波の性質から表面波の解析へと研究を発展させることができるため,今年度得た研究成果は,表面波を含む地震波を記述する弾性波動方程式を解析ために,基礎となる欠かせないものである. 3.重要性:方程式の解の漸近挙動を詳細に記述することは,散乱問題,さらには散乱の逆問題へと研究を発展させる契機となる.そのうえ,微分方程式の解の近似式を詳しく与えることは,解の数値計算への応用,さらには,地震波の詳しい伝播シミュレーションを可能とするものである.したがって,応用上も重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度は,全体の約30%である.この根拠は次のとおりである.研究目的は,半空間弾性波動方程式の定常解について,以下の3点を明らかにすることである. 1.外向き解,内向き解の解の一様な漸近展開を得ること.2.摂動を考え散乱行列を構成すること.3.散乱行列から係数を再構成すること.現在までに,1の部分はほぼ明らかになった.証明に不備がある箇所を,現在修正作業中である.2の部分は,共同研究者の協力のもとで,単純な場合の半空間ヘルムホルツ方程式に対して散乱行列を計算した.これにより,弾性波動方程式の場合の見通しがついた.3の部分は未着手である.3年間の研究計画のうち,初年度で全体の30%を達成しているので,研究はほぼ予定通り進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.半空間弾性波動方程式について,共同研究者と研究打ち合わせを重ね,現在までに得られた成果をまとめる.2.学会,研究集会での発表準備をおこなう.3.数値計算ソフト「マスマティカ」の基本的な使い方を修得するため,関連するセミナーに参加する.4.研究目的の1つ「非線形シュレーディンガー方程式」の逆問題に着手する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策にあわせて,以下のように研究費を使用する.1.出張旅費:研究打ち合わせ(年4回)学会,研究集会への参加(年4回)2.物品費:専門書と本棚の購入.研究資料と収納庫の購入.前年度は,予定していた研究集会に参加できないことがあり,未使用額が生じた.震災の影響と大学の仕事による日程の不都合が主な理由である.前年度未使用額は,今年度の出張旅費にあて,研究打ち合わせを頻繁に行う.
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