2012 Fiscal Year Research-status Report
線形及び非線形ヘルムホルツ型方程式の漸近解析と逆解析
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23740104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邊 道之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90374181)
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Keywords | 解析学 / 関数方程式論 / 数理物理 / 散乱問題 / 逆問題 |
Research Abstract |
1.研究成果の内容:昨年度に引き続き,地震波のモデル方程式である半空間における弾性波動方程式の定常解の特徴づけに関する研究を行った。弾性波動方程式に付随するフーリエ変換の漸近展開を,定常位相の方法などを駆使し解析することで,定常解の挙動を球面波と特殊関数を用いて詳細に記述することができた。 2.意義:物理的に意味のある解の特徴づけは偏微分方程式論における1つの基礎的研究である。したがって,この研究で得られた結果は,今後の弾性波動方程式の研究,とくに散乱問題と逆問題の研究を発展させる契機となるものである。 3.重要性:この研究で用いた解析手法は,弾性波動方程式のみならず,他の波動現象を記述する偏微分方程式にも十分適用可能である。したがって,この研究結果は応用範囲が広く,発展性がある。さらに,地震波のモデル方程式の解の挙動を詳細に調べることは,地震波の伝播のシュミレーションを可能にし,さらには現実の問題への応用も期待できる。したがって,この研究結果は数学のみならず,応用上も重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度は,全体の約60%である。この根拠は次のとおりである。研究目的は,半空間弾性波動方程式の定常解について以下の3点を明らかにすることである。 1.外向き解,内向き解の一様な漸近展開を得ること。 2.摂動を考え散乱行列を構成すること。 3.散乱行列から係数を再構成すること。 現在までに,1の部分と2,3の基礎部分となる解の特徴付けを得た。ここまでの研究結果を現在研究論文としてまとめている。 3年間の研究計画のうち,2年目で全体の60%を達成しているので,研究はほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.半空間の弾性波動方程式の研究について,共同研究者と研究打ち合わせをし,成果を論文としてまとめ,学術雑誌に投稿する。 2.学会,研究会での発表準備をおこなう。 3.昨年度に引き続き,数値計算ソフト「マスマティカ」の基本的な使い方を修得する。 4.非線形シュレーディンガー方程式の逆問題についての研究結果を論文としてまとめ,学術雑誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究推進方策に合わせて,以下のように研究費を使用する。 1.出張旅費:研究打ち合わせ(年2回程度)。学会,研究集会等への参加(年4回程度)。 2.物品費:研究成果の取りまとめに必要な物品。研究成果の発表に必要な物品。
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Research Products
(2 results)