2011 Fiscal Year Research-status Report
非線形消散型波動方程式における時間大域的可解性と非線形作用の関係性
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23740116
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹田 寛志 福岡工業大学, 工学部, 助教 (10589237)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 非線形消散型波動方程式 / 高次漸近展開 |
Research Abstract |
非線形消散型波動方程式の解の性質は,古くから非線形熱方程式の解との類似性が知られていた.近年では小さい初期値に対する時間大域可解性の条件や解の減衰率,一次及び二次展開の漸近形の一致が示されている.本研究では,線形消散型波動方程式の解の漸近展開の方法論を確立し,三次展開以降は,線形熱方程式の解と漸近挙動が異なることを明らかにした.これは,Fourier 分割法における低周波成分の多項式近似による.その応用として,非線形消散型波動方程式の三次展開以降の漸近挙動を同定し,この場合も三次展開以降から非線形熱方程式の解と挙動が異なることを証明した.同時に,吉川 周二 氏(愛媛大)との共同研究によって,(1)非線形消散型梁方程式,(2)極限不安定 Cahn-Hillard 方程式,(3)弱い摩擦効果を加味した等温 Falk-Konopka モデルといった消散構造と高階化された空間拡散を含む方程式の解の高次漸近展開を行い,それぞれの解の差異や,非線形項の解の長時間挙動に対する影響を明らかにした.以下,詳細を述べる.(1) 高周波成分に停留位相法を用いることで高階方程式特有の平滑化効果を示す不等式が得られた.(2) 小さい初期値に対する大域可解性の十分条件と非線形項の増大度の関係性を定量的に導出した.(3) 一次及び二次展開まででは現れなかった高階化された空間拡散の効果が,三次展開以降に生じることを導いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周波数空間での解析を見直したことで,当面の目標であった消散型波動方程式の高次の漸近展開公式が得られた.この手法を用いて,(特殊関数による解の表示の期待できない)付随する一連の方程式の高次漸近解析の方策が確立できた.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定よりも早いペースで研究目標の達成できた.それに伴い,今後は,本年度の研究成果を基にして,現在得られている成果のとりまとめを行い,結果の意義及び問題点を再検討する.同時に,研究成果の発表を国内外を問わず行い,専門化との意見交換の機会を設ける.それに基づき,今後の研究の方向性を定める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内での研究集会に参加し, 専門家と, 質疑応答や意見交換することは大変有意義である. 調査・研究旅費によって, 学会・研究集会, 各大学のセミナー(大阪大学, 広島大学,九州大学, 熊本大学) に参加して情報収集を行う. また, 西原 健二 教授 (早稲田大), 林 仲夫 教授 (大阪大), 川下 美潮 准教授 (広島大), 吉川 周二 准教授 (愛媛大) と双曲型, 分散型偏微分方程式についての意見交換および議論のために研究打ち合わせ旅費を用いる. 福岡工業大学にて「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」を開催し,専門家間での意見交換や情報収集を行う.前年度の未使用額の一部は, 本年度国際研究集会参加用渡航費および, 研究集会「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」の運営のための研究者招聘に用いる.
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Research Products
(4 results)