2012 Fiscal Year Research-status Report
非線形消散型波動方程式における時間大域的可解性と非線形作用の関係性
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23740116
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹田 寛志 福岡工業大学, 工学部, 助教 (10589237)
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Keywords | 非線形消散型波動方程式 / 高次漸近解析 |
Research Abstract |
これまでの先行研究によって, 消散型波動方程式の解は, 熱方程式の解との時間大域挙動の類似性が知られていた. 一方で昨年度の本研究により, 自己相似解による漸近展開を行えば, 三次展開以降に上述の二つの方程式の解に形状の差異が生じることを明らかにした.本年度は, 以上を踏まえ, 消散型波動方程式の解の漸近挙動で得られたその手法を下に, その方法論の応用の意義を再検討し, またこの方法論の適用の限界の考察を行った. より具体的には, 四階の空間微分項を含む方程式で, なおかつ消散型波動方程式と類似の消散構造を持つ方程式;消散型梁方程式, 極限不安定型 Cahn-Hillard 方程式, 弱い摩擦効果を加味した等温 Falk-Konopka モデルでは, 展開の回数を増やすと, (二階の空間微分の方程式よりも)初期値に多くの正則性が必要になることが明らかになった. 高階項の存在によって, 解に平滑化が期待されるが, 重み付き評価を構成する際には, 高階項が正則性の喪失を引き起こすことを示唆している. これは, 二次展開まででは見ることのできなかった高階方程式に特有の現象であり, 高次の漸近展開を行うことで明らかになった二階の方程式との違いである.現在は, その方程式に応じた「必要な正則性」の最適な条件を定量的に模索している. 2012年5月に, 福岡工業大学にて, 「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」と題して勉強会を開催し, 非線形楕円型および放物型偏微分方程式の最新の解析手法の討議を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を上回るペースで研究目標の達成ができた昨年度の成果を, 査読付き論文誌に投稿し, うち数編は掲載が決定した. 同時に, 研究成果の意義及び問題点を再検討し新たな展開についての見通しを得た.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をふまえ,研究の完成をはかる. 加えて, 新たな課題に対して分野横断的により組織的に研究を進める.特に,消散型波動方程式の高次漸近展開の手法を見出した点は重要であり, 連立系や他の摩擦項を含む分散型方程式の解の構造については今後大きな発展が期待されるため, 重点的に取り組む. また, 平成25年度は成果発表や専門家との意見交換の機会を増やすため, 平成24年度分余剰を用いる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外で研究集会やセミナーに参加し, 専門家との意見交換を行う. 特に, 調査・研究旅費によって学会・研究集会, 各大学のセミナー(広島大学・九州大学・熊本大学など)での聴講や成果発表を行う. また, 西原 健二 教授 (早稲田大), 林 仲夫 教授 (大阪大), 川下 美潮 教授 (広島大), 吉川 周二 准教授 (愛媛大), 田崎 創平 助教 (東北大)と双曲型及び分散型偏微分方程式の解の構造についての意見交換や議論のために研究打ち合わせ旅費を用いる. また, 実解析学関連書籍や幾何学関連書籍を用いて, 各分野の古典理論の有機的な情報収集を行う. 次年度も, 本年度に引き続き福岡工業大学にて, 「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」を開催し, 専門家間での意見交換の場を設けて,先行研究の体系的な情報収集を行う.
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Research Products
(5 results)