2013 Fiscal Year Research-status Report
非線形消散型波動方程式における時間大域的可解性と非線形作用の関係性
Project/Area Number |
23740116
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹田 寛志 福岡工業大学, 工学部, 助教 (10589237)
|
Keywords | 非線形消散型波動方程式 / 解の漸近挙動 |
Research Abstract |
本研究の当初の目的の一つであった高階項と消散項を併せ持つ非線形偏微分方程式の解の性質の同定について,高階項と消散項の効果が強く現れる現象の導出を目的として,新たに二つの視点から考察を行った. (1) 減衰の遅い初期値を持つ非線形消散型梁方程式の初期値問題に対して,時間大域解の構成とその漸近挙動の導出を行った. その証明の要点は, 解を構成する補助空間に斉次Sobolev空間を採用し,考察し直した点にある. この方法論によって, (望ましい)特殊関数による基本解の表示が期待できない場合にも, さらには(減衰が遅いため)初期値自身のFourier変換がwell-definedでない場合にも非線形問題に適用可能な枠組みが構築できる. (2) 昨年度までの本研究によって,四階の空間微分を含む方程式について, 基本解の重み付き評価を構成する際には(類似の消散構造を持つ消散型波動方程式には起きない)正則性の損失が起きるという知見は得られていた.この問題に対し, 従来の基本解の時間減衰評価に加えて, 基本解の重み付き評価を構成する際に損失する正則性を正確に見積もること, および, その線形評価から自然に導かれる空間で四階項による(微分に対する)平滑化を用いての非線形相互作用の制御することを試みた.その帰結として, 二次元における非線形消散型梁方程式に対する時間大域適切性を実現する解空間の一つを同定した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の遅い減衰を示す初期値に対する解の構成方法論は,類似の構造を持つ多くの方程式への適用が可能であり,また非線形構造によっては新たな臨界現象が生じうる.これまでの研究計画の達成状況に加えて新たな展開が十分に見込めるため,これらを総合して「おおむね順調に進展している。」と判断して良いと思われる.
|
Strategy for Future Research Activity |
最新の研究動向を調査することを目的の一つとして,各地で開催される研究集会やセミナーに参加し,講演者および参加者との研究討論・意見交換を行う予定である.加えて,共同研究者を訪問または招聘し,研究討論を行う予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スペックを検討してパソコンの購入を見送ったため(次年度に購入予定). 前年度に引き続き, 研究に必要な文献の調達費, 研究連絡・発表に必要な旅費として使用する予定である. また, 次年度も福岡工業大学にて研究集会「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」を開催し,専門家間での意見交換や情報収集を行う.前年度の未使用額の一部は, パソコンの調達および, 研究集会「偏微分方程式レクチャーシリーズ in 福岡工業大学」の運営のための研究者招聘に用いる予定である.
|