2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740117
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山本 征法 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00600066)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 関数方程式 / 関数解析 / 実解析 / 応用数学 |
Research Abstract |
当該研究では,半導体デバイスのシミュレーションに由来する移流拡散方程式について考えている.移流拡散方程式は半線形の拡散方程式であり,主要部の拡散効果は従来のモデルではラプラシアンによって記述されている.しかし,十分小型の半導体素子のモデルを考える場合には,この拡散効果を分数羃ラプラシアンで与えた方がより自然な場合がある.一般に,分数羃ラプラシンを主要部に含む拡散方程式の解については,その空間遠方での挙動が熱方程式の解の挙動とは大きく異なることが知られている.具体的には,初期データの形に無関係に解の空間遠方での減衰が多項式オーダーであることが導かれる.これは熱方程式の解には見られない性質である.本研究では拡散効果を分数羃ラプラシアンで与えた場合を含む移流拡散方程式を考える.特にその初期値問題の解の時間大域挙動が研究課題である.本年度は,移流拡散方程式の解の時間大域挙動のうち時間パラメータ無限大での漸近展開および空間変数に関する解析性評価について研究を行った.まず時間パラメータ無限大での解の漸近展開については,非線形の効果に由来する項に解の漸近形を繰り込むことにより,従来困難であると考えられていた高次の漸近展開を導出することができた.また,ラプラシアンの移流拡散方程式において,静電場の効果に由来するポテンシャル項に外力を与えた場合の解が,定数定常解に漸近することを示した.解の解析性評価については,ラプラシアンの移流拡散方程式の解が空間変数について解析的であることを示した.さらに分数羃ラプラシアンによる特殊な拡散効果の下でも解の解析性が崩れないことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該科研費による出張の際に,国内外の研究者との討論を活発に行ったため,当該研究を順調に進展させることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
移流拡散方程式の解の挙動を知るために,より基本的な枠組みである線形拡散方程式の初期値問題について考える.そのために,国内外の研究集会に参加し,線形拡散方程式の解の挙動の研究に関する情報を収集する.特に,特殊な拡散効果を与える分数羃ラプラシアンの性質を知るために,引き続いて当該研究分野の専門家との討論を重ねる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は国外出張1件を他の資金により行ったため,当該科研費中の旅費使用分に余裕が発生した.当該研究費は次年度分と併せて主として出張旅費として使用する予定である.現段階で日本数学会の会合への参加,偏微分方程式論札幌シンポジウムにおける研究発表,CIRM(フランス)における研究集会「Euro-Japan Workshop on Blow-up」への参加を予定している.また,出張旅費の他にも研究課題に関連した非線形偏微分方程式に関する各種書籍および研究に用いる計算機などを購入する.
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Research Products
(5 results)