2012 Fiscal Year Research-status Report
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23740117
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山本 征法 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00600066)
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Keywords | 関数方程式 / 関数解析 / 実解析 / 応用数学 |
Research Abstract |
研究課題である移流拡散方程式の解の時間大域挙動に関連して、ポテンシャル項付き線形拡散方程式の解の挙動について研究を行った。特に、移流拡散方程式の拡散効果を与える作用素として妥当な、分数冪ラプラシアンの拡散方程式について考えた。ラプラシアンの拡散方程式の場合は、解の可積分性は初期データによって制御可能である。一方、分数冪ラプラシアンによる拡散を与えた場合、線形の基本解のフーリエ表象が滑らかでないため、解の可積分性が初期データに関わりなく著しく低くなる。このため、解の時間大域挙動を知る上で有用な漸近近似の精度に宿命的な限界があり、既存の研究ではこの問題の解決が課題であった。本研究では解の時空遠方での減衰に着目した繰り込みを導入することにより、この問題を解決した。当該研究で用いた手法は、非線形問題である移流拡散方程式に対しても拡張し得るものである。 また移流拡散方程式の解の挙動を知る上で重要な、解の正則性に関する研究を東京理科大学の加藤圭一准教授・杉山裕介氏と共同で行った。分数冪ラプラシアンの拡散方程式を考える際、拡散の指数に応じて解の滑らかさが決まる。分数冪ラプラシアンによる正則化効果が十分大きな場合には解の空間変数に関する解析性が得られることが既に示されている。当該年度の研究では、これまで臨界ケースとみられていたハーフラプラシアンの移流拡散方程式に対して、非線形項をコミュテーターを用いて評価することにより、解の解析性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究時間を確保することができたため。また、当該研究費からの旅費により参加した国際研究集会における情報収集および、参加者との討論を通して、研究を進める上で有用な情報が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポテンシャル項付き線形拡散方程式の解の時間大域挙動を求めるのに用いた手法を、元来の研究課題である移流拡散方程式に対し拡張する。その際に同様の手法が適用可能なより一般の非線形方程式の枠組みを構築する。また、移流拡散方程式の時間定常解の漸近安定性に関して、現在までに未解決の問題に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究に関連の深い非線形偏微分方程式研究に関する情報収集および研究成果発表のため、チェコ共和国にて開催される国際研究集会に参加予定であり、そのための旅費として当研究費を使用する。また、外部記憶媒体など、研究を遂行する際に必要な計算機の周辺機器の追加を行う予定である。
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Research Products
(5 results)