2013 Fiscal Year Research-status Report
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23740117
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山本 征法 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00600066)
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Keywords | 関数方程式 / 関数解析 / 実解析 / 応用数学 |
Research Abstract |
当該年度の研究では、研究課題である移流拡散方程式の解の挙動について、方程式が「臨界」と呼ばれる特殊な形で与えられた場合の解の時間大域存在および減衰に関する結果を得ることができた。移流拡散方程式は半導体素子の設計問題に由来する方程式であり、その解は電子などの荷電粒子の密度分布を記述する。したがって解の挙動は荷電粒子に働く熱力学的な線形拡散と静電場による非線形移流効果とのバランスによって支配される。荷電粒子の拡散の仕方は半導体の組成や温度などの状況に応じて決まるが、本研究では拡散の程度を自由に記述するため分数冪ラプラシアンを導入した。分数冪ラプラシアンはブラウン運動から導かれる拡散をより一般化した作用素であり、その冪の大小によって粒子の拡散の度合いを表現することができる。当該年度の研究は、通常は解に対して最も支配的である熱拡散がもう一方の効果である非線形の移流効果と見かけ上釣り合う「臨界」と呼ばれる場合を扱うものである。熱拡散が解に対してより支配的である「劣臨界」の場合は、古典的な拡散方程式に対する手法を拡張すれば、その解の存在や滑らかさ、時間大域挙動に対する評価を得ることができる。一方「臨界」の場合はこれらの手法を適用できないため、関連する先行研究は限定的なものであった。当該年度は「臨界」の場合の解に対して調和解析および実解析的手法を適用するため、この分野の専門家である東京理科大学の加藤圭一教授、杉山裕介助教と協力して研究を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究費によって参加した国際研究集会にて研究に有用な情報を得ることができたため。また、共同研究者との討論の時間を確保することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、半導体素子の設計問題のうち荷電粒子の電荷の符号が一方のみの方程式を扱ってきた。今後は正負双方の電荷を含む方程式についても考察を進める。特に「臨界」かつ正負の電荷が釣り合う中性状態の解について研究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究費とは別の研究費による補助が多く得られたため。 当該研究計画について協力を得るため、次年度に海外の大学に滞在予定であり、その際の滞在費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)