2011 Fiscal Year Research-status Report
特異ラグランジュ部分多様体のフレアー理論におけるモジュライの解析と代数構造の研究
Project/Area Number |
23740123
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
赤穂 まなぶ 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (30332935)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | シンプレクティック多様体 / ラグランジュ部分多様体 / フレアー理論 / モース理論 |
Research Abstract |
本年度は当初の研究計画にあった通り、特異点を持つラグランジュ部分多様体のフレアー理論の構築に向けて、まずそのトイ・モデルとなる境界付き多様体のモースホモロジーにおけるカップ積の構成を行った。 特異点をもつシンプレクティック多様体をターゲットとする擬正則曲線の理論は現時点ではまだ様々な困難を抱えているが、その主なものはそのような擬正則曲線のモジュライ空間の構成(コンパクト化)とおよびそこから得られる代数構造の解明である。そこで本研究では特異点の補集合を想定して、凹型のエンドを持つシンプレクティック多様体Mとその中のルジャンドルエンドを持つラグランジュ部分多様体Lを考え、境界付きリーマン面からMへの擬正則写像でその境界値がLに含まれるようなものを考えた。このときモジュライ空間のコンパクト化はMが非コンパクトなために通常のフレアー理論とは異なる様相を呈する。そこで本研究ではまずこの設定のもとでの擬正則曲線の振る舞いを詳しく解析し、そこからそれに対応するモース理論(境界付き多様体のモース理論)を見つけ出し、そして次にそのモース理論から得られた考察をフレアー理論にフィードバックするという研究手法を取った。 境界付き多様体のモースホモロジーについては本研究代表者による過去の研究によりほぼ解明されており、次に解明すべき点はそのモースホモロジーにおけるカップ積の構成であった。その構成における最大の問題は境界上のチェインの交叉の横断正則性であった。そこで当該年度における研究では、その横断正則性の問題を克服する手法を開発し、境界付き多様体のモースホモロジーにおけるカップ積の構成に成功した。この成果は特異点を持つラグランジュ部分多様体のフレアー理論における積構造の解明への重要な一歩となるものと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にあった通り、特異点を持つラグランジュ部分多様体のフレアー理論に向けて、そのトイ・モデルである境界付きのモースホモロジーにおけるカップ積の構成に成功し、そのカップ積の複体レベルにおけるライプニッツ則の証明を行った。またそこからルジャンドルエンドを持つラグランジュ部分多様体のフレアー理論における自然な積構造の導入を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進の方策は、日常的な研究を継続的に行うとともに、国内外の学会やワークショップに積極的に参加し、関連分野の研究者と活発に交流を行い情報を収集し、効果的な研究の推進を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
例年の実績を鑑み、次年度も本研究費の大半を国内外の出張旅費に当てる。現時点でのその使用計画は3・4日程度の国内出張が5・6回、1週間~10日程度の外国出張旅費が1回の予定である。(もちろん変更がある場合は随時使用計画の見直しを行う。)
|