2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23740126
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
間田 潤 日本大学, 生産工学部, 助教 (80396853)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 可積分系 / セルオートマトン / 箱玉系 / 超離散 / 相関関数 / 量子化 |
Research Abstract |
「周期箱玉系の相関関数」について研究を行った.研究計画ではフーリエ級数を用いた母関数の導出を考えていたが,その前にこれまで行ってきた組合せ論的手法の改善を試みた.これは,これまでの手法が単純で簡易であり,得られる結果の複雑さや扱いづらささえ改善できれば,難しい知識を使わず相関関数が理解できるからである. 周期箱玉系は2状態をとる1次元セルオートマトンであり,保存量が存在する.そして,ある手続きにより時間発展させなくても同じ保存量をもつ状態が作り出せる.ただし,この手続きを用いて相関関数を求めると,得られる結果は複雑で扱いづらいものとなる.そこで,この手続きを行列によって表し,行列を用いて解析的に相関関数を求めることを考えた.これにより,これまでの手法よりも扱いやすく,また,研究計画で述べたフーリエ級数を用いた母関数よりも簡単な結果が得られると考える. 同じ保存量をもつ状態を作り出す手続きを行列によって表すことはできているので,この行列を用いて相関関数を求め,すでに得ている簡単な場合の結果と一致することを確認し,さらに一般的な結果を得ていく.さらに,フーリエ級数を用いた母関数の導出も行い,行列を用いて得た結果と比較し,母関数についての考察を行う. また,セルオートマトンが1セルにおいて有限種類の状態しかとらないことから,行列を用いてセルオートマトンを考察する際には,modによって得られた結果を対象のセルオートマトン上の値に制限することになる(例えば,周期箱玉系はmod 2によって値を制限する).周期箱玉系は超離散化と呼ばれるある種の極限操作を用い離散方程式の従属変数を離散化することにより得られるが,大元の離散方程式自体をmodつまり有限体上で考えることにすれば,超離散化とは異なるセルオートマトンが得られる.この着想から有限体上の離散方程式についても研究を行ってみた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな興味として有限体上の離散方程式について考察し始めたことと,震災により学内業務が想定以上に増えてしまい当初の予定より研究に費やせる時間が減ったことなどによって,計画よりも遅れてしまっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」にも記載したように,行列を用いて周期箱玉系の相関関数を求めることを考え,その後,フーリエ級数を用いた母関数の導出を行い,両者を比較することにより,相関関数の理解を深めていく.並行して有限体上の離散方程式についても考察を続けていき,超離散化とは異なる新たな視点をセルオートマトンにおいて見いだしていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
行列を用いた数値計算,有限体上での数値計算が必要であり,現在使用しているパソコンをハイスペックなものにリプレースする必要がある.また,本年度は震災の影響で国外の学会,研究会への参加が難しかったので,次年度は国外への旅費として使用したいと考えている.
|
Research Products
(2 results)